第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 7 (II-S07)
小児循環器集中治療の未来 ―小児循環器・心臓血管外科・麻酔集中治療とのコラボレーション―

2017年7月8日(土) 16:30 〜 18:00 第1会場 (1F 展示イベントホール Room 1)

座長:竹内 護(自治医科大学麻酔科学・集中治療医学)
座長:松井 彦郎(長野県立こども病院小児集中治療科)

16:30 〜 18:00

[II-S07-01] 心臓血管外科医から見たこれからの集中治療体制のあり方

中野 俊秀, 檜山 和弘, 小田 晋一郎, 財満 康之, 阪口 修平, 原田 雄章, 宮城 ちひろ, 内山 光, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:術後管理, 集中治療, 先天性心疾患

1.現在の集中治療管理体制の矛盾本邦では欧米の施設のようにPICUに集中治療専門医がいる施設は少なく、多くの施設では若手、中堅医師を中心とした心臓血管外科医がPICUでの術後管理を担当している。つまり現在の心臓血管外科医は、手術室での“外科医”としての業務と、PICUでの“集中治療医”としての業務を兼任しており、その過重な勤務実態の改善が求められているが、未だPICUでの術後管理は若手心臓血管外科医の献身的な医療に頼っているのが現状である。しかしながら一方で、患者の術後管理で疲弊し外科医本来の業務である手術室でのパフォーマンスが低下するようなことがあってはならない。今後、小児心臓血管外科医の減少に伴い、PICUでの術後管理のマンパワーが不足することは明らかであり早急に対処すべき重要な問題である。2.小児循環器集中治療医に求めるもの先天性心疾患の術前、術後は疾患に応じた管理法があり、その幅と奥行きは非常に広い。また術後管理においては患者の病態の的確な判断と迅速な対処が必要で、特に単心室疾患の姑息術後の管理においては多くの知識と経験が求められる。各先天性心疾患の術後の病態生理、各種循環作動薬についての知識に加え、心エコーによる診断技術、およびある程度の侵襲的医療行為(胸腔穿刺、ドレン挿入など)が行えることが望まれる。小児循環器集中治療医の育成は小児循環器医、麻酔科医、心臓血管外科医のみならず、関連他科を含めた包括的な教育、サポート体制の中で行う必要がある。3.これからの集中治療体制のありかた先天性心疾患患者の管理を完全に分業化することは非合理的であり、また明らかに医療の質を低下させる。小児循環器集中治療医は、全ての先天性心疾患患者のPICUでの術後管理において、心臓血管外科医や小児循環器医、時に新生児科医や麻酔科医と小児集中治療管理チームを形成し、その中心的役割を担うことが期待される。