第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム 9 (II-S09)
小児循環器領域の遠隔医療

2017年7月8日(土) 10:10 〜 11:40 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:大月 審一(岡山大学医学部小児科)
座長:黒嵜 健一(国立循環器病研究センター小児循環器集中治療室)

10:10 〜 11:40

[II-S09-05] 小児植込み型デバイスにおける遠隔モニタリングシステムについて

関谷 崇志1, 朝海 廣子2, 佐藤 孝司1, 谷本 光1, 横田 順1, 村澤 孝秀1, 高岡 哲弘3, 平田 陽一郎2, 犬塚 亮2, 張 京浩1, 平田 康隆3 (1.東京大学医学部附属病院 医療機器管理部, 2.東京大学医学部附属病院 小児科, 3.東京大学医学部附属病院 心臓外科)

キーワード:植込み型デバイス, 遠隔モニタリング, 不整脈

【背景】当院では、成人領域において植込み型デバイスの管理体制に遠隔モニタリングシステムをすでに運用しており、イベントに対する早期発見、介入する事でその有効性を認めていた。しかし、小児領域では、診療科が異なることから遠隔モニタリングシステムを導入していなかった。そこで、2016年3月より臨床工学技士(ME)が小児不整脈領域に参画し、デバイス患者の管理レベルの向上のために小児領域での遠隔モニタリングシステムを導入したので、その運用状況を報告する。
【対象】当院にてフォローアップをしているペースメーカ(PM)患者17名、植込み型除細動器(ICD)2名の計19名に対して遠隔モニタリング(Medtronic社製、CareLink®)を導入し、2016年3月から2017年1月までの運用状況を調査した。
【検証】遠隔モニタリングの定期送信は月1回と定め、送信データをMEが確認し、医師へ報告する体制を取った。観察期間中、すべての患者でデータ送信を認めたが、データ送信予定日に正確に送信してくる定期送信率としては84.7%であった。また、19例中11例に不整脈エピソードを1回以上認めた。送信データを確認し、デバイスの作動状況や、不整脈エピソードを精査、解析することで、デバイスの適正設定や不整脈に対し早期介入することが出来た。
【考察】小児のPM治療は、術後遠隔期にリード不全などの合併症が成人に比べ高い確率で認められるという報告があり、成人領域において、不整脈や合併症への早期介入による有効性が示されている遠隔モニタリングは、小児領域での重要性がより高いと考えられる。当院でも小児に対する遠隔モニタリングの活用は、より緊密な管理や診療方針に役立てる事が出来たと考えられる。しかし、遠隔モニタリングは医療従事者の業務負担を増加させており、今後、より効率的な運用システムの考案が課題であると考えられる。