第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

周手術期・遠隔期

一般口演(多領域専門職部門) 2 (II-TRO2)
周手術期・遠隔期

2017年7月8日(土) 14:50 〜 15:50 第2会場 (1F 展示イベントホール Room 2)

座長:三浦 稚郁子(日本心臓血圧研究振興会榊原記念病院 看護部)

14:50 〜 15:50

[II-TRO2-03] 2歳で完全大血管転位症に対しRastelli術を受けた患児の術後急性期呼吸ケア

山内 雄太, 野村 英利, 兵頭 昇, 渡邉 裕美子 (国立循環器病研究センター)

キーワード:先天性心疾患, 呼吸ケア, 腹臥位

【はじめに】先天性心疾患患児の術後急性期における呼吸・循環管理は、解剖学的特徴や術式の特殊性から容易でないことが多い。今回、完全大血管転位症術後に呼吸器合併症を起こし、再挿管、人工呼吸器管理となった2歳の患児に対する急性期看護について呼吸ケアを中心に報告する。【事例】 TGA、VSD、PSに対し、生後49日目にrt.mBTS、1歳11ヶ月でlt.mBTS、2歳1ヶ月でRastelli術が施行された幼児。【倫理的配慮】看護部の承認を得た。【結果】POD2に抜管。その後、粘稠度の高い喀痰が多く、CXRにて微小無気肺を確認。POD3には無気肺の悪化、肺出血を合併し、pO2236mmHgから69mmHgと著明に悪化、再挿管に至った。再挿管後はPEEP8cmH2Oで呼吸管理が行われた。POD5のCXRでは右気胸の合併を認めた。P/F200程度と酸素化は不良、旧血性痰も多く、容易にVtの低下を認めたため、2時間に1回の加圧吸引が必要であった。POD6に、酸素化の改善を期待し腹臥位療法を開始。体位ドレナージによる多量の喀痰排出を認め、Vtも95から110ml前後と上昇し、P/F330まで改善。約1時間の腹臥位療法を1日2回、4日間継続した。POD9にはCXRにて無気肺と気胸の改善、気管支鏡検査にて肺出血の収束が確認。再挿管前のCVP12~14から5~6まで低下し抜管に至った。【考察】TGAに対するRastelli術後であるため、PVRが上昇しないよう循環動態を管理することが重要である。呼吸器合併症改善のためには、患児の発達段階から看護介入によるストレス反応を予測し、患児の表情や動き、バイタルサインの変化から苦痛を読み取り、鎮静剤の調整、腹臥位療法を継続することが必要であった。【まとめ】患児が手術によって得られた新たな循環を看護師が理解すること。発達段階を踏まえて患児の苦痛を読み取り、鎮静剤の使用と鎮静レベルの評価を行うこと。挿管中の腹臥位療法は、呼吸指標を評価し、継続して行うこと。以上が呼吸器合併症の改善につながった。