第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

周手術期・遠隔期

一般口演(多領域専門職部門) 2 (II-TRO2)
周手術期・遠隔期

2017年7月8日(土) 14:50 〜 15:50 第2会場 (1F 展示イベントホール Room 2)

座長:三浦 稚郁子(日本心臓血圧研究振興会榊原記念病院 看護部)

14:50 〜 15:50

[II-TRO2-04] 心臓血管外科手術後の新生児・乳児における小児鎮静評価スケールState Behavioral Scale(SBS)の有用性の検討

藏ヶ崎 恵美, 嶺川 幸子, 下野 智美 (福岡市立こども病院 PICU)

キーワード:鎮静, SBS, PICU

【背景】A病院のPICUには心臓血管外科手術後の患児が入室し、新生児・乳児はその60%を占める。治療上、筋弛緩薬による深鎮静管理が行われる一方で、鎮静薬のみの使用でも深鎮静、時には過鎮静となることがある。過鎮静を回避するため、昨年度からRASS 中田(2012)を導入したが、評価による刺激によって患児の循環動態に影響を与えてしまう可能性や乳児未満では発達上、評価が困難であることが明らかとなった。そこで、PICUの新生児・乳児にRASS以外の鎮静評価スケールの導入を検討した。【目的】PICUの心臓血管外科手術後の新生児と乳児に対し、小児鎮静評価スケールSBSの観察者間信頼性について検討する。【倫理的配慮】A病院の倫理委員会の承認を得た上で、調査対象者に同意を得た。【対象と方法】2016年9月~2017年1月にPICUに入室した新生児・乳児患者に対して、1)看護師のSBS評価 中田(2012)における観察者間一致率(以下K値)の算出、2)看護師に対し、SBSの使いやすさについてアンケート調査を実施した。【結果】1)患者対象者は12名(新生児5名、乳児7名)で、SBS評価数は新生児54回、乳児103回であった。K値は新生児0.59、乳児0.43でいずれも中等度の一致率だった。2)SBS導入前後の使いやすさについては、新生児・乳児・心臓血管外科手術後の3群に有意差はなかった。RASSよりもSBSの方がスコアをつけやすいと答えたスタッフは91%(21名)であった。自由記載では、「SBSは細かく状況が記載され評価しやすい」、「侵襲的な評価を要しないから良い」という回答がある一方で、「評価に迷う」という回答もみられた。【考察】心臓血管外科手術後の新生児・乳児の患者に対し、RASSよりもSBSの方がスコアつけやすいと多くのスタッフが認識していたが、観察者間評価信頼性は低かった。SBSは判定に迷う評価項目もあり、十分なトレーニングを積み,スコアリング時に看護師間で確認することが必要である。