第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

E-Oral Presentation

その他

E-Oral Presentation 9 (III-EOP09)
その他 1

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 E-Oral エリア (1F 展示イベントホール)

座長:馬場 志郎(京都大学大学院医学研究科 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-EOP09-08] バイオチューブ人工血管は移植後に成長する

古越 真耶, 中山 泰秀 (国立循環器病研究センター研究所 医工学材料研究室)

キーワード:人工血管, 再生医療, 動物移植実験

【背景】再手術が不要な人工血管は小児循環器外科の最大の悲願の一つである。患者の成長や発達を妨げず、人工血管が追従して拡径、伸長できれば正に理想である。我々が開発した新発想再生医療技術である「生体内組織形成術」では、形状や厚さを自在に設計した完全に自己組織のみからなる自家移植用組織体を細胞培養することなく簡便に得ることができる。本技術を用いて作製した同種バイオチューブが移植後に成長することを年単位のビーグル犬への移植実験によって確証を得たので報告する。【方法】成ビーグル犬(約10kg)の皮下に鋳型を2ヶ月間埋め込むことで、内径2 (n=2), 2.5 (n=4), 2.7mm (n=5)、長さ10mm、厚さ0.7mmのバイオチューブを作製し、移植まで70%アルコール中で保存した。これを生後3ヶ月の幼ビーグル犬(約3kg)の頚動脈(内径約2mm)に端々結紮吻合で移植し、血管造影検査によって最大2年間の血管径の変化を調べた。【結果】移植時平均2.2mmであった生体の血管径は、3ヶ月後に約3mm、6ヶ月後に約3.6mmの定常値に達した。一方、口径2.5mmと2.7mmのバイオチューブは共に移植後に口径が徐々に増加し、6ヶ月後には共に約3mmとなり、1年後には生体血管とほぼ遜色が無くなり、2年後まで維持された。また、1年時のマクロ観察によって移植部の伸長を認めることができた。しかし移植時に生体血管径より小さい口径2mmのバイオチューブでは、ほとんど口径が変化しなかった。興味深いことにバルーンで拡張させると血管径を合わせることが可能であった。【結論】移植後にバイオチューブの口径と長さの増加を証明できたことで、バイオチューブは成長性を有すると結論づけられる。また、生体血管と同様にバルーン拡張性も有していた。