8:30 AM - 9:20 AM
[III-OR41-03] Contegraを用いたRastelli手術後の問題点 末梢性肺動脈狭窄とステントの有用性
Keywords:Rastelli手術, 末梢性肺動脈狭窄, ステント
(背景)右室流出路再建(RVOTR)の人工導管としてContegraが承認され、使用経験が蓄積されてきている。欧米ではhomograftに比べ有意に再手術介入が遅れるなど有用性が示されている一方、術後の肺動脈弁逆流(PR)、末梢性肺動脈狭窄(PPS)が問題になることもある。(方法)2014年4月から2016年12月までの間に当院でContegraを用いてRVOTRを行った10例のうち、術後評価を行った8例を診療録を用いて後方視的に検討し、問題点を検討した。(結果)疾患はPA/VSD 5名、PA/VSD,MAPCA 2名、総動脈幹症1名で、男児6名、女児2名。22q11.2微細欠失症候群が3名にみられた。手術時年齢5ヶ月~2歳5ヶ月(中央値10ヶ月)、手術時体重は5.4kg~12kg(中央値 6.4kg)であった。術後PRは1度4名、2度4名、PPSは5名(62.5%)に認め、3名はバルーン血管形成術(BAP)が無効であった。うち2名は特に内科的加療への反応に乏しく、ステント留置を行うことで右室圧の改善を認めた。PPSのなかった1名は術前が等圧のre-RVOTR、1名はpalliative RVOTR後の導管変更であった。(症例)PA/VSD,MAPCAの男児。月齢3にcentral shunt、月齢4及び7にshunt狭窄に対しBAP、1歳3ヶ月にMAPCAのUF、1歳7ヶ月にMAPCA塞栓を経て、2歳2ヶ月、6.4kgでContegra16mmを用いたRastelli手術を施行。術後両側PPSによる右心不全を生じ、内科的加療に難渋。術後56日に左PPSに対しBAPを施行したが無効で、術後67日に同部位にステント留置を施行。右室/左室圧比は1.1から0.8に改善し、心不全症状も改善した。(考察)Contegraを用いたRastelli手術は人工導管と肺動脈の口径差、グルタルアルデヒド処理の影響でPPSを生じることが報告されているが、加えて低年齢、低体重での手術は胸郭の前後径の影響で吻合部の肺動脈が形態変化し、血管径自体の問題よりも更に大きな圧較差を生じる可能性がある。ステント留置はこの形態の改善に効果的で再手術に比較し侵襲も少なく、有効な治療法と考えた。