1:00 PM - 2:00 PM
[III-P42-07] 当院でのTAPVCに対するprimary sutureless repairの経験
Keywords:TAPVC, primary sutureless repair, asplenia
【はじめに】当院ではTAPVCに対する初回修復術は共通肺静脈と心房との直接吻合(以下 conventional repair)を基本方針としている.しかし,単心室やheterotaxyを合併する症例,type IV TAPVC症例, また新生児期早期に手術を要した症例では救命が困難なことも多かったため,近年では症例を選択してprimary sutureless repairを導入した.【対象】2013年11月から2016年10月までの期間にTAPVCの初回修復術としてprimary sutureless repairを施行した5例.【結果】手術時日齢 94日(0 - 342日), 手術時体重 3.60 kg (3.14 - 8.00 kg), 女児:男児 = 1 : 4, TAPVC typeは Ib 1例,III 1例,IV 3例であった.選択理由の内訳はtype IV TAPVC 3例,asplenia 2例, 術前PVOが高度で日齢 0での緊急手術を要しかつ術中所見で高度な狭小肺静脈を認めたもの1例であった(重複あり).Aspleniaの1例はtype IV TAPVC Ib (L) + III (R)であったが,前医でIb (L)に対するprimary sutureless repairとPA bandingを施行されており,当院ではIII (R)に対するprimary sutureless repairとIb (L)のPVO解除を行なった.経過中にPVOの再発を認めたのはこの症例のみで,カテーテルによるステント留置で改善が得られている.これまで全例が生存している.【結論】最初の3例の適応は,共通肺静脈-左房間距離が大きなtype IV TAPVC症例に対して施行した“expanded primaly sutureless repair”であった.最近の2例では,これまでconventional repairで救命困難例の多かったasplenia症例,出生直後に緊急手術を要する高度狭小肺静脈症例に,適応を拡大した.これらの症例でも今のところ良好な結果が得られている.まだ症例数が少なく観察期間も短いため,妥当性についてはさらなる経験の蓄積が必要だが,従来PVOを来しやすかった重症例の成績改善に寄与する有用な術式と考えられた.