第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

外科治療

ポスター (III-P43)
外科治療 4

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:崔 禎浩(宮城県立こども病院 心臓血管外科)

13:00 〜 14:00

[III-P43-10] 小児ASD患者に対する低侵襲治療の意義

木村 成卓1, 金澤 英明2, 安原 潤3, 山岸 敬幸3, 饗庭 了1 (1.慶應義塾大学病院 心臓血管外科, 2.慶應義塾大学病院 循環器内科, 3.慶應義塾大学病院 小児科)

キーワード:カテーテル治療, 低侵襲手術, 心房中隔欠損

【目的】我々は以前より小児期のASD患者に対し皮膚小切開・胸骨部分切開による手術を積極的に行っていたが、2008年より右腋窩小切開アプローチによる修復術を開始、2011年からはカテーテルによるデバイス治療も導入し、より多彩な方法を治療の際に選択していただけるように心がけている。今回我々の施設におけるASD閉鎖へのアプローチと治療成績につき検討した。【対象】カテーテルによるデバイス治療が開始された2011年1月以降2016年12月までの間にカテーテル治療あるいは外科的治療を施行した18歳未満のASD患者93例を対象とした。患者をそれぞれのアプローチ法により分類し、周術期の各種因子(年齢、身長、体重、性別、人工呼吸器管理期間、ICU滞在期間、術後在院期間、術後合併症、術後死亡)につき比較検討した。【結果】全93例のうち26例がカテーテル治療(ASO)群、34例が右腋窩小切開アプローチ(Ax)群、29例が胸骨正中切開(FS)群、2例が胸骨部分切開(PS)群、2例がPort Access(PA)群であった。外科治療の際、女子は小切開アプローチを選択する傾向が強かった(Ax群88%、PA群100%)。全群間で人工呼吸器管理期間やICU滞在期間に差はなかったが術後在院期間は他群に比べASO群で有意に短かった(4日 vs 10日)。術後死亡や、不整脈、脳卒中を発症した症例は全群で認めず、またASO群では術後合併症を全く認めなかった。【結語】我々の施設における小児ASDの治療成績は十分満足のいくものであった。カテーテル治療不適応の場合でも腋窩小切開やPort Access法による外科治療を行うことで患者・家族の希望に沿い満足していただくことが可能であった。