[I-MOR05-03] 当院小児集中治療室で経験した肺動脈弁欠損合併のファロー四徴症について
Keywords:肺動脈弁欠損, 気管軟化症, 予後
肺動脈欠損を合併したファロー四徴症 (TOF/APVC) は胎児期に動脈管が早期閉鎖することによって生じ、心疾患のみならず、拡張した肺動脈による圧排に端を発する重篤な気道の問題を合併することが多い。【目的】当院で経験したTOF/APVCの心臓・気道への介入時期やを方法を振り返り、生命予後との関連について検討する。【対象と方法】2000年1月から2017年12月までに当院集中治療室に入室したTOF/APVCを対象とした、単施設、後方視的観察研究。【結果】対象は6例で胎児診断例が3例、出生後診断例が3例であった。胎児診断例はいずれも生直後から人工呼吸を必要とし、新生児期に2例、日齢34に初回の外科介入を施行され、周術期と遠隔期に1例ずつ死亡した。出生後診断例は新生児期に軽度の多呼吸 (+) で、腹臥位管理をしたものが2例 (1例はNPPVを装着)、呼吸症状 (-)が1例であった。心臓外科介入は新生児期が1例、日齢42と2歳4か月時にそれぞれ実施された。当院の心臓外科介入は(1)右室流出路形成 (RVOTR)、心室中隔欠損孔閉鎖、肺動脈吊り上げ,(2) 肺動脈前方移動、RVOTR、心室中隔欠損孔閉鎖、肺動脈縫縮が中心である。心臓外科術後に気管軟化症のために気管切開術および人工呼吸導入となった症例は2例で、うち1例は(2) を施行された後に、気管軟化症に対して外ステント装着術を施行したが、軟化症が更に進行し死亡した。【考察と結語】出生直後から呼吸不全となり人工呼吸を必要とする症例は予後が悪い傾向にある。しかし、肺動脈による気管・気管支への圧排が解除されたとしても、生来持ち合わせている気管の脆弱性が顕在化し、呼吸症状が進行する症例がある。、肺動脈前方移動にて肺動脈による気管への圧排を解除できたとしても、大動脈による圧排に対して介入する必要がでることがあり、外ステントを含めた介入の是非についても十分検討する必要がある。