第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

外科治療

ミニオーラルセッション06(I-MOR06)
外科治療

2018年7月5日(木) 15:00 〜 15:35 ミニオーラル 第3会場 (313)

座長:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院 心臓血管外科)

[I-MOR06-05] 単心室群肺血流コントロール困難症例に対する早期BCPS導入と効果
-追加姑息術 VS 早期 BCPS-

太田 教隆, 麻生 俊英, 武田 裕子, 小林 真里子, 大中臣 康子 (神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

キーワード:早期グレン手術, シャント不全, 単心室症

【はじめに】Staged Fontan strategyに於いてBCPS手術は重要な役割を担っている。一方一般的BCPS適応年齢到達までにinerstage mortalityに影響する重度体肺循環血流不全は少なくなくない。当院ではそのような症例に対して一定の条件下において積極的に早期BCPS手術を導入してきた。
【方法と対象】BCPS待機中(2008年ー2017年)何らかの蘇生処置によりBCPSまでICU挿管管理を必要とし抜管困難であった連続10例(Asplenia:3, HLHS:1, Ebstein:1, PA/IVS:1, PAVSD:1, DORV:1, ccTGA:1, SV:1)。主な術前ICU管理理由はsevere desaturation (n=6), pulmonary over circulation (n=4)。
【結果】BCPS手術時年齢、体重はそれぞれ86.6±20.2days, 3.8±1.2kg。先行姑息術(70%,7/10)は、BTS:4, bil-PAB:1, Brok OP:1, Norwood:1。BCPS術前ECMO support(群:n=5)を(severe desaturation:n=1, pulmonary over circulation:n=4)にて必要とし、鎮静化での術前挿管管理(群:n=5)のみを(severe desaturation: n=3, severe heart failure due to CAVVR: n=2)にて必要とした。ICU管理以前に行われたものも含め術前カテにてPAP=10.4±1.7mmHg、Sat.=72.8±8.5%, PA=191±34であり、最終BCPS適応判断は術中PA圧測定にて行った。同時手術(ECMO群:ASD creation(2), Starns’ OP(2)、術前挿管管理群:AVV repair(2), PA plasty(1), TAPVD repair(1))。
ECMO support群:術後全例ECMO離脱は可能、4例軽快退院(Fontan到達:n=2、待機:n=2)、1例repeat ECMOを必要とし最終的には失う。前術挿管管理群(n=5):全例軽快退院(Fontan到達:n=3、待機:n=2)。Pre Fontanカテ検査にて、PAP=10±2.3mmHg, Rp=1.3±0.6, PA index 197.6±39.4であり、2群間比較においても差はない。
【結語】単心室群におけるinterstage成績に影響を与える体肺循環不全重症例において早期BCPS導入はより安定した血行動態をもたらす可能性があると思われた。