[I-OR03-06] 心内・心外型導管を用いたTCPC手術の3例
Keywords:TCPC, pulmonary areteri-venous fistula, heterotaxy
【はじめに】心房内で下大静脈・肝静脈開口部に人工血管を吻合し、心房内を通過、心房壁を貫通後、心外経路を経て肺動脈に吻合する心内・心外型導管による非定型的TCPC手術(IC/EC-TCPC)を3例で選択した。【対象と手術】対象は男/女1/2、手術時年齢・体重は4歳5か月(13.8kg),8歳7か月(29.4kg)(TCPC術後変換例),4歳0か月(13.0kg)、基礎疾患は無脾症候群2、多脾症候群1でIC/EC法選択の理由は(1)心房中隔をはさむ異常な下大動脈・肝静脈還流、(2)EC-TCPC法術後に生じた下大静脈/肝静脈血流の左右分布不均衡による左肺内動静脈瘻、(3)心尖/大動脈同側性・短い心嚢内下大静脈であった。心房壁貫通部位は側壁、単心房天井部、心耳部で、肺静脈開口部、大動脈後方のスペース、左右肺動脈への血流分布などを考慮して決定した。選択した人工血管径は16,16,18mm、1例では下大静脈・肝静脈開口部に別途人工血管を用いた。【結果】現在までの最長5年10か月の経過観察では術後合併症として遺残短絡1、遷延性腹水・胸水流出などを認めた。術前からのDDDペーシング例以外は術前と同様の心房調律が維持された。術後造影では心内/心外導管からの血流は左右肺に良好な分布を示し、肺内動静脈瘻によるチアノーゼ再発例では術後2年の経過中進行が停止している。【考察】内臓心房錯位例や体静脈還流異常例では心外導管の設置が困難であったり、左右肺への肝静脈血の均等な分布が困難となる場合があり、こうした例に対する選択肢としてIC/EC型変法が示されたが、症例数や術後経過観察期間の制限などからいまだ一般的ではない。今回の対象例では従来のEC法では明らかな技術的困難が予想された。他の1例ではEC法後の肺血流不均衡による一側肺での肺内動静脈瘻の解消にIC/EC法への変換が必要と判断した。 【まとめ】本術式は特定の状況では有用な選択肢となる。