第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

心不全・心移植

一般口演10(I-OR10)
心不全・心移植

2018年7月5日(木) 17:00 〜 17:50 第4会場 (303)

座長:石川 司朗(福岡市立こども病院 循環器科)
座長:村上 智明(千葉県こども病院 循環器科)

[I-OR10-02] 小児重症心不全に対するHVADの成績

小森 元貴1, 上野 高義1, 平 将生1, 木戸 高志1, 小垣 滋豊2, 成田 淳2, 石田 秀和2, 澤 芳樹1 (1.大阪大学医学部附属病院 小児心臓血管外科, 2.大阪大学医学部附属病院 小児循環器科)

キーワード:HVAD, 小児心不全, 小児心移植

【背景】現在BSAが1.0以下の体格の小児に対する補助人工心臓(VAD)は、Berlin Heart EXCORのみが保険適応になっており、長期入院の必要性等、社会環境面からも問題があると言わざるを得ない。その中で、近日中にも保険使用が期待されるHVADは、現在の報告ではBSA 0.8以上の小児症例に応用可能であり、学童期心不全患児の治療選択肢が広がると考えられる。HVADは、小型の植え込み型デバイスで、EXCORが適応される体格の患者の一部を対象とすることが可能であり、待機中のQOLを向上させることができる可能性がある。当院では、HVADを臨床研究として小児に対し使用しており、本デバイスの安全性と有効性を検討する。【対象・方法】当院で2012年4月から2017年3月までにHVAD装着を行った18歳未満の小児5例。年齢中央値は11.8[範囲:11-15]歳、BSAは0.92[0.76-1.2]。診断は拡張型心筋症3例、拡張相肥大型心筋症1例、拘束型心筋症1例。術後抗凝固療法はPT-INR 2.5-3.0を目標とし、アスピリン、ジピリダモールを併用した。全例、術前に心臓CTで左室内腔径を計測し、inflow cannulaと僧帽弁の位置をsimulationし、植え込み可能か術前に評価した。【結果】4例LVAD、1例BiVADであり、HVAD装着期間は774[210-1080]日で死亡例なし。3例が心移植に到達し、2例が現在移植待機中である。心移植までのHVAD補助期間は700[210-1080]日。LVAD回転数は2575(2400-2800)rpmで管理した。合併症として、脳血管障害をBSA 0.7台の2例に計3回認めたが、いずれも神経学的後遺症は認めず。ドライブライン感染を1例認め、BiVADの1例では装着後のAR及びPRに対して弁閉鎖術を行った。全例HVAD装着後に退院し、通学可能であった。【結語】HVADは学童期心不全患児に対する新たなVAD治療を提供するものであるが、体格を含めた術前適応に関しては、さらなる評価を行う必要がある。