第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

学校保健・疫学・心血管危険因子

一般口演15(I-OR15)
学校保健・疫学・心血管危険因子

2018年7月5日(木) 08:40 〜 09:30 第6会場 (411+412)

座長:泉田 直己(曙町クリニック)
座長:立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

[I-OR15-05] 機能的単心室におけるフォンタン手術に関する疫学調査:小児慢性特定疾病登録データを用いた解析

村上 卓1, 堀米 仁志2, 賀藤 均3, 掛江 直子3 (1.茨城県立こども病院 小児循環器科, 2.筑波大学医学医療系 小児科, 3.国立成育医療研究センター病院)

キーワード:フォンタン手術, 小児慢性特定疾病対策, 単心室

【背景】本邦におけるフォンタン手術に関する全国規模の疫学調査の報告は少ない。【目的】「小児慢性特定疾病対策の推進に寄与する実践的基盤提供にむけた研究」班によりデータベース化された小児慢性特定疾病の医療意見書登録データを用いて機能的単心室におけるフォンタン手術が症状や治療に及ぼす影響について検討する。【対象】平成23~26年度に登録された25,920患者のうち機能的単心室4,240患者を対象とした。【方法】横断的研究として、機能的単心室患者をフォンタン手術施行群(F群)2,006例(47%)、未施行群(non-F群)2,234例(53%)に分類し、1)患者背景(年齢、性別)、2)症状(チアノーゼ、心不全症状、動脈血酸素飽和度)、治療(内服薬、人工呼吸管理、酸素療法)、予後(改善、不変、悪化)について2群間の比較を行った。【結果】結果は(F群:non-F群, p value)で示す。1)患者背景:年齢(平均±SD)(9.0±4.6歳:3.0±4.5歳,<0.001)、女児(42%:45%, 0.386)、2)症状:チアノーゼ(27.2%:79.0%,<0.001)、多呼吸(16.8%:51.9%,<0.001)、 体重増加不良(30.0%:65.0%,<0.001)、動脈血酸素飽和度(平均±SD)(90.8±8.3%:81.0±10.1%,<0.001)であった。治療:強心剤(11.7%:20.5%, <0.001)、利尿剤(41.6%:67.2%, <0.001)、末梢血管拡張薬(54.4%:40.9%,<0.001)、βブロッカー(11.2%:10.5%,<0.001)、 人工呼吸管理(0.4%:8.6%,<0.001)、酸素療法(13.0%:30.8%,<0.001)であった。予後:(改善59.0%、不変31.4%、悪化1.2%、無記入8.5%:改善45.2%、不変35.8%、悪化2.6%、無記入16.5%,<0.001)であった。 【まとめ】フォンタン術後患者にも低酸素血症の残存を認めるが、術前患者と比較しチアノーゼ、心不全症状、人工呼吸管理や酸素療法の頻度が低かった。全例調査ではない等の問題があるが、小児慢性特定疾病登録データは全国規模の疫学調査として有用である。