The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

心血管発生・基礎研究

一般口演19(I-OR19)
心血管発生・基礎研究

Thu. Jul 5, 2018 3:50 PM - 4:30 PM 第6会場 (411+412)

座長:浦島 崇(東京慈恵会医科大学 小児科)
座長:加藤 太一(名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学)

[I-OR19-04] APCA発現モデルラットを用いた新生血管発現量の定量化およびその時間的推移の検討

伊藤 怜司1, 浦島 崇1, 糸久 美紀1, 馬場 俊輔1,2, 森 琢磨1, 飯島 正紀1, 安藤 達也1, 藤原 優子1, 南沢 享2, 小川 潔1 (1.東京慈恵会医科大学 小児科学講座, 2.東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座)

Keywords:血管新生, 体肺側副血行路, 低酸素血症

【背景】肺血流減少性心疾患では体肺側副血行路(APCA)がしばしば増生し、心不全や胸水の原因となり予後に影響を与えることが知られているが、未だ不明なことが多い。今回、APCA発現動物モデルを用いてAPCA短絡量の定量化とその時間的推移を検討した。
【目的】APCA短絡量の定量化と時間的推移を明らかにすること
【方法】生後5週のSDラット(150~200g)を用いてモデルを作成し、飼育環境を変化(FiO2: 0.21(RA), 0.10(HO))させ比較した。本モデルではAPCA短絡は左室負荷となり、その拍出量は肺血流量(Qp)を反映する。一方、右室拍出量は体血流量(Qs)を反映する。上行大動脈と主肺動脈の血流量を測定し、本検討では飼育期間と環境により個体体重差が大きいため、その比率を肺体血流比(Qp/Qs)として算出した。測定機器は経胸壁法:GE社Vivid E9と経血管法:Transonic systems社 flow probeを用いて相関性を評価した。評価時期は術後3日より1週毎に術後4週とし、各群が10匹を満たすまで行った。統計学的解析はp<0.05を有意差ありとした。
【結果】Qp/Qsは、HOで術後1週より対照と比較し有意に増加(1.33±0.04, p<0.05)し、術後3週をピーク(1.53±0.08)に平衡となった。RAではHOと比較し有意に増加が緩徐(p<0.01)であり、術後3週をピーク(1.53±0.09)にHOに追いつき平衡となった。経血管法と同時に測定できた対象(N=22)の比較では、R=0.76と良好な相関が得られた。
【結論】低酸素飼育環境によりAPCAは早期から増生したが、術後3週以降では2群間に差は認めず代償期に至っていた。APCA発生には低灌流が主体的に働き、低酸素環境は促進因子であるが、代償期以降に差は認めなかった。現在、発生機序解明のため血管新生因子の時間的変動を追加検討中である。