第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

複雑心奇形

ミニオーラルセッション11(II-MOR11)
複雑心奇形

2018年7月6日(金) 10:00 〜 10:28 ミニオーラル 第3会場 (313)

座長:西川 浩(JCHO中京病院 中京こどもハートセンター 小児循環器科)

[II-MOR11-01] 無脾症候群単心室症例の治療成績に関する検討

重光 祐輔1, 原 真祐子1, 川本 祐也1, 平井 健太1, 福嶋 遥佑1, 栄徳 隆裕1, 栗田 佳彦1, 近藤 麻衣子1, 馬場 健児1, 大月 審一1, 笠原 真悟2 (1.岡山大学病院 小児循環器科, 2.岡山大学病院 心臓血管外科)

キーワード:無脾症候群, 総肺静脈還流異常, 肺静脈狭窄

【背景】無脾症候群(Asplenia)に対する治療成績は近年向上傾向にあるが、満足のいくものでは決してない。【目的】当施設におけるAspleniaの治療成績を検討する。【方法】2008年1月~2017年12月までの10年間で、当施設で治療を行ったAsplenia 38症例(男:23、女:15)を診療録を用いて後方視的に検討した。(観察期間:18日~9年5か月、中央値3年6か月)【結果】全例が機能的単心室であり、Fontan型心内修復術(F術)の適応であった。F術到達率は38例中13例34%であり、総肺静脈還流異常(TAPVC)合併25例中では7例28%であった。F術後遠隔期合併症として、蛋白漏出性胃腸症を1例、鋳型気管支炎を2例で認めたが、そのいずれもがTAPVC合併例であった。死亡例は11例29%であり、死因の内訳は、感染4、心不全2、肝不全2、呼吸不全1、不整脈1、肺静脈狭窄(PVO) 1であった。TAPVC合併25例中8例、主要体肺側副血行路(MAPCA)合併6例中2例、TAPVC/MAPCA合併4例中1例、PVO合併11例中4例が死亡例であった。1年、3年、5年生存率はそれぞれ86%、71%、62%であった。PS合併例・PA合併例はともに18例であり、肺血流に関する初回手術はmBTS 22例、PAB 7例、BDGまで手術を要さない体肺血流バランスの取れた症例も7例認めた。TAPVC repairを施行した24例中10例でPVOを認めた。当施設ではPVO回避目的に、TAPVC repairは病型に関わらず待機可能であれば待機するstrategyを採っているが、待機期間とPVO発症率との間に相関は認めなかった。近年では術後PVOに対して積極的に開胸・開心下ステント挿入術(open stent:OS)を行っている。OS非施行群4例中3例が死亡例であるのに対し、OS施行群6例中死亡例は1例のみであった。【まとめ】TAPVCやPVOの合併は予後不良因子であった。PVOに対する介入としてOSの有用性が示唆されたが、重症感染症や不整脈による死亡例もあり、Asplenia症例の予後改善には更なる検討が必要である。