第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演26(II-OR26)
集中治療・周術期管理

2018年7月6日(金) 17:10 〜 18:00 第4会場 (303)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)
座長:松井 彦郎(東京大学医学部附属病院 小児科)

[II-OR26-03] 先天性心疾患術後患者における中心静脈カテーテル関連血栓症

前澤 身江子1, 瀧聞 浄宏1, 安河内 聰1, 武井 黄太1, 内海 雅史1, 中村 太地1, 川村 順平1, 浮網 聖実1, 沼田 隆佑1, 岡村 達2, 上松 耕太2 (1.長野県立こども病院循環器小児科, 2.長野県立こども病院心臓血管外科)

キーワード:周術期管理, 中心静脈カテーテル, 血栓症

【背景】先天性心疾患における中心静脈カテーテル関連血栓症(catheter-related thrombosis, CRT)は、肺塞栓や脳梗塞、両方向性グレンルートの閉塞、カテーテル検査、治療のアプローチを困難にする原因となり、注意すべき合併症である。【目的】先天性心疾患術後患者におけるCRTについて、発症の様子と経過、治療および予後を検討する。【方法】2016年4月1日-2017年12月31日に先天性心疾患手術に際して中心静脈カテーテルを新規に留置した177例中、術後に超音波またはCTで血栓の検索を行った33例(日齢3-5歳、中央値3.5ヶ月;1.8-13.6kg、中央値4.6kg;男20例)を対象に、診断の契機、血栓の有無、部位、手術から血栓診断までの期間、検査値の変化、偶発症の有無、治療と転帰について診療録から調査した。【結果】診断の契機はFDP上昇31例、カテーテル挿入部位の腫脹1例、脳梗塞1例。脳梗塞をきたした症例は他の部位でも血栓を検出できなかった。33例中21例(64%、男15例)にCRTを認め、うち6例(29%)は新生児であった。外腸骨静脈にカテーテルを留置した30例中、16例にCRTを認めた。診断は中央値で術後7日(3-21日)で行った。CRTの有無によって診断前3日間のFDP平均値は17.6VS18.0μg/ml(p=0.91)、経過中のFDP最大値は32.7VS27.6μg/ml(p=0.49)といずれも有意差はなかった。診断時に23例でヘパリン持続投与を行っていたが、17例にCRTを認めた。投与量は中央値10IU/kg/h(5-17IU/kg/h)で、診断前3日のAPTTの平均値は44.0VS38.5秒(p=0.36)と有意差なく、ヘパリンで血栓形成は抑制されなかった。21例中13例でワーファリン投与し、7例で血栓の消失を確認した。2例は血管が完全閉塞したためワーファリンは中止した。【結語】先天性心疾患術後はCRT発症リスクが高く、術後早期から見られる。FDP上昇が特異的な検出契機ではないが、早期に超音波検査で検索、治療を開始して合併症を防ぐことができるかもしれない。