The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演26(II-OR26)
集中治療・周術期管理

Fri. Jul 6, 2018 5:10 PM - 6:00 PM 第4会場 (303)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)
座長:松井 彦郎(東京大学医学部附属病院 小児科)

[II-OR26-05] 周術期におけるリオシグアト注腸投与の安全性と有用性

小山 裕太郎, 高橋 努 (済生会宇都宮病院 小児科)

Keywords:術後肺高血圧, リオシグアト, 注腸投与

【背景】左右短絡疾患では術後に肺高血圧が残存し治療を要することがある。術後早期の経口・経管での投薬は吸収が不安定であることが懸念され、注腸投与が有用である可能性がある。【目的】術後肺高血圧に対するリオシグアト注腸投与の安全性および有用性を調べる。【方法】対象は2015年4月から2016年3月に術後肺高血圧に対してリオシグアト注腸投与を行った乳児の4例。肺高血圧の判断は、症例1・2は肺動脈圧ラインによる測定、圧ライン非挿入の症例3・4では心エコー図検査により行った。初期投与量は1回0.02mg/kgで1日3回投与とし、必要であれば適宜増量を行った。投与後120分または240分まで、30分または60分間隔で体血圧および(圧ライン挿入例では)肺血圧を測定し比較検討を行った。【結果】症例1はVSD, PHで術後PH crisisに対してNO療法導入し、NO減量に伴いリオシグアトを漸増した。NO離脱時の1回投与量は0.06mg/kgで、体血圧(収縮期)は投与前93.8mmHgで120分後に3.6%上昇し、肺血圧(収縮期)は投与前26.8mmHgで120分/240分後にそれぞれ3.5%/4.7%減少した。症例2はVSD, PHでリオシグアト1回量0.02mg/kgで投与を開始した。同様に体血圧は投与前86.6mmHgで90分後に3.1%上昇し、肺血圧は投与前31.8mmHgで90分後に6.8%上昇する結果となった。いずれの変化も有意差は認めなかった。症例3はPDA, PHの21 trisomy児、症例4はDORVで、1回量0.02mg/kgで投与を開始し、有意な体血圧変動なく経過した。【考察】症例数が少なく有意な肺血圧低下は得られなかったものの、全例で有意な体血圧低下なく経過した。体・肺血圧モニター下であれば、比較的早期に維持量まで増量することで良好な肺血圧を得られる可能性がある。