第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演27(II-OR27)
川崎病・冠動脈・血管 3

2018年7月6日(金) 08:40 〜 09:45 第6会場 (411+412)

座長:西山 光則(恵愛病院 小児科)
座長:渡部 誠一(土浦協同病院 小児科)

[II-OR27-02] 当院における巨大瘤を有し成人に至った川崎病症例の検討

深澤 隆治, 橋本 康司, 橋本 佳亮, 大久保 隆志, 築野 香苗, 渡邉 誠, 鈴木 伸子, 赤尾 見春, 阿部 正徳, 上砂 光裕, 勝部 康弘 (日本医科大学小児科)

キーワード:川崎病, 冠動脈巨大瘤, 成人

【背景】川崎病巨大冠動脈瘤(GAN)は遠隔期において心イベントを高率に発症することが知られている。冠動脈巨大瘤を有し現在当院にて経過観察中の成人について、その特徴を検討する。【方法/成績】当院小児科にて経過観察中の20歳以上のGANを有した川崎病35名を対象とした。男女比は25/10、川崎病発症時月齢は中央値36(4-135)ヶ月、分析時の月齢は中央値305(236-528)ヶ月であった。GAN部位は右5例、左4例、両側26例であり。右冠動脈(RCA)の75%以上狭窄/閉塞は3/15例、左冠動脈(LAD)の75%以上狭窄/閉塞は15/6例であった。急性心筋梗塞(AMI)は10例(28.6%)に来しており、無症候性の心筋梗塞も1例に確認された。AMIはGANがRCAのみに存在する症例にはなかった。AMI症例は有意にLVEFが低下し(0.52±0.11 vs. 0.64±0.04, p<0.0001)、LV asynergyが存在(p<0.0001)していたが、Treadmill運動負荷強度には差を認めなかった(15.1±1.7 vs. 14.3±2.8 Mets, p=0.46)。冠動脈バイパス術(CABG)は17例に行われ、川崎病発症からCABGまでの期間は中央値86.5ヶ月(12-480)であった。RCAおよびLADの有意狭窄または閉塞症例でのCABGは、それぞれ50.0%(9/18)、100%(17/17)とLADに問題ある症例により多く行われていた。全例にアスピリンが投与されており、ワーファリンの投与は8例であった。全例がNYHA1の生活を送っており、Treadmill運動負荷でも10Mets以下の症例はなかった。全員が学生または職業を有し、特に日常生活での困難を訴える症例はなかった。【結論】GANを有する成人では、様々な問題を抱えながらも、特に困難のない社会生活を送ることが可能となっている。