The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム6(II-S06)
現在の術式の問題点

Fri. Jul 6, 2018 8:40 AM - 10:10 AM 第1会場 (メインホール)

座長:笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
座長:佐々木 孝(日本医科大学付属病院 心臓血管外科)

[II-S06-01] Norwood手術の問題点:大動脈縮窄と肺動脈狭窄

小谷 恭弘1, 川田 幸子1, 堀尾 直裕1, 小林 泰幸1, 迫田 直也1, 辻 龍典1, 後藤 拓弥1, 黒子 洋介1, 新井 禎彦1, 佐野 俊二2, 笠原 真悟1 (1.岡山大学病院 心臓血管外科, 2.カリフォルニア大学サンフランシスコ校 小児心臓外科)

Keywords:単心室症, フォンタン手術, 肺動脈狭窄

はじめに:左心低形成症候群(HLHS)に対するNorwood手術は、両側肺動脈絞扼術を介した段階的Norwood手術やRV-PA shuntを用いることで周術期管理を安定化させ、劇的に生存率は向上した。生存率が向上しFontan手術に到達する患者が増える中、大動脈弓再狭窄や肺動脈狭窄の発生が顕著化してきた。今回、Norwood手術後の大動脈弓再狭窄や肺動脈狭窄の発生頻度を検討し現在のNorwood手術の問題点を探った。
方法:1998年2月から2017年12月までHLHSおよび関連疾患でRV-PA shuntを用いたNorwood手術を行った141例が対象。大動脈弓再建術においては、基本的に自己組織のみを用いる方針とした。RV-PA shuntは基本的に5mmのPTFEグラフトを用い遠位端はカフをつけて狭窄の予防とした。BDG手術時の年齢は中央値で6.0 (IQR:5.0-8.0)ヶ月で、SaO2が75%以下または低肺動脈発育の症例62例(70.3%)にはAdditional flowとしてRV-PA shuntを残存させた。TCPCは中央値32 (26-37)ヶ月で施行した。
結果:連続141例中早期死亡は11例(7.8%)であり、114例がBDGを終了し、91例がTCPCに到達した。Kaplan-Meier法の生存曲線では3ヶ月91%、12ヶ月82%、36ヶ月77%であった。外科的に大動脈弓再狭窄に対する手術介入を要した症例は19例で、回避率は1年89.4%、5年88.3%、10年88.3%であった。BDG時のPA indexは192 (159-261) mm2/m2で24例で外科的形成を行った。TCPC時のPA indexは非HLHS群に比べて有意に低値であった(HLHS群:226 (185-265) vs. 非HLHS群:263 (208-359) mm2/m2, p=0.003)が、平均肺動脈圧は有意差を認めなかったHLHS群:11 (9-13) vs. 非HLHS群:11 (9-13)mmHg, p=0.783)。
結語:Norwood手術後の大動脈弓再狭窄と肺動脈狭窄の発生は少なくなかった。術式の中でこれらの合併症のトリガーとなる因子について、当科で行われている術式および諸家の報告について考察したい。