第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

会長賞選別

一般口演(多領域専門職部門)01(II-TR01)
会長賞選別講演

2018年7月6日(金) 08:40 〜 09:30 第3会場 (302)

座長:仁尾 かおり(三重大学大学院医学系研究科 看護学専攻)
座長:森貞 敦子(倉敷中央病院 看護部)

[II-TR01-03] 循環器疾患をもつ子どもの鎮静に関する看護師の認識

村山 有利子1, 栗田 直央子2, 長谷川 弘子3, 笹川 みちる4, 宗村 やよい5, 小川 純子6, 横山 奈緒実7, 水野 芳子8 (1.聖隷浜松病院 看護部, 2.東京女子医科大学病院 看護部, 3.元大阪大学医学部附属病院 看護部, 4.国立循環器病研究センター 看護部, 5.山梨県立大学 看護学部, 6.淑徳大学 看護栄養学部, 7.松戸市立病院 看護部, 8.千葉県循環器センター 看護部)

キーワード:小児, 循環器, 鎮静

【はじめに】我々はこれまで心臓カテーテルや小児循環器看護に関する研究や研修会を行ってきた。その中で循環器疾患を持つ子どもの鎮静に対して困難感を抱いている看護師が多いことがわかってきたが、鎮静に関する看護師の認識に着目した研究は見当たらない。
【目的】循環器疾患をもつ子どもの鎮静に関する看護師の認識について検討する。
【方法】経験年数5年目以上の10名の看護師に実施した小児循環器看護の特徴についての半構成面接の逐語録から、鎮静に関する語りを抜粋し、内容を質的に分析した。本研究はA大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】鎮静に関する語りから抽出された9のテーマを以下< >で示す。看護師は、鎮静薬について<使用を判断するための根拠がある>と考えていた一方で、<使用の判断が難しい>と捉えていた。その背景には、<診療科によって使用の考え方に違いがある><小児と成人で使用の考え方に違いがある>という理由があった。特に術後急性期の場面では、鎮静と鎮痛の判断が難しいと感じているにも関わらず、<看護師が鎮静管理の主体となる>実情もあった。また、看護師は鎮静薬を<なるべく使用したくない>と考え、<鎮静の前にできるケアがある>と、できる限りの方法で啼泣への対処を行っていた。しかし、子どもの<安全を守るためには鎮静薬を使用せざるを得ない>場面や、他の子どものケアとの兼ね合いなど<業務のために鎮静薬を使用せざるを得ない>場面もあると捉えていた。
【考察】小児循環器看護の特徴の一つとして、子どもの鎮静に関することが含まれていた。循環動態の安定を図るための鎮静に関するケアは、小児循環器看護において重要な技術であるが、小児における苦痛の評価の難しさが鎮静に関する困難感につながると考えられた。循環器疾患をもつ子どもの鎮静に関する看護師のアセスメント力を向上させるような教育体制の必要性が示唆された。