第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演(多領域専門職部門)

急性期

一般口演(多領域専門職部門)02(II-TR02)
急性期

2018年7月6日(金) 14:10 〜 14:50 第6会場 (411+412)

座長:牛谷 千尋(神奈川県立こども医療センター)
座長:権守 礼美(榊原記念病院 看護部)

[II-TR02-04] フォンタン術後患者に対する早期心臓リハビリテーションの効果

大西 伸悟1, 圓尾 文子2, 山本 真由子2, 阪田 美穂3, 佐藤 有美3 (1.加古川中央市民病院 リハビリテーション室, 2.加古川中央市民病院 心臓血管外科, 3.加古川中央市民病院 小児科)

キーワード:心臓リハビリテーション, フォンタン手術, 早期離床

【背景】先天性心疾患手術後患者の運動療法は日本循環器学会ガイドラインに記載されているが、術後早期の幼児期の心臓リハビリテーション(以下心リハ)の報告は少ない。【目的】三尖弁閉鎖症1b型によりフォンタン手術が施行された患者に対し、術後早期心リハを導入し、回復が良好であった症例を経験したので報告する。【症例紹介】生後2ヶ月に体肺動脈短絡術、生後5ヶ月に両側両方向性グレン手術を経て、今回2歳3ヶ月でフォンタン手術を施行された男児。術前評価で、安静時HR120回/分、経鼻酸素0.5L/分でSpO2:85%、胸部レントゲンはCTR47.5%、血液検査はBNP:7.5pg/ml、心臓カテーテル検査にて平均肺動脈圧9mmHg、肺血管抵抗1.0Wood×m2、PA index143mm2/m2、LVEDV223%ofN、EF78%であった。運動面・心理面の発達は正常範囲内、10m歩行でSpO2:70%、HR165、普段から座って遊ぶことが多く、あまり歩きたがらなかった。【経過】フォンタン手術後2時間より心リハ介入開始、術後4時間で人工呼吸器離脱。術後翌日より経鼻酸素1L/分で立位負荷、術後2日目介助歩行50mでき自然排便もあった。術後3日で胸腔ドレーン抜去でき、手押し車で100m歩行、術後8日より経鼻酸素0.5L/分で独歩100m、術後9日に独歩300m達成し、術後10日目退院。術後16日目に外来で6分間歩行にて経鼻酸素0.5L/分で歩行時最高HR150回/分、歩行時最低SpO2:93%で250m達成。10cmの階段昇降でもHR、SpO2は安静時と変わりなかった。入院中、児の心リハの様子を母親も見学したことで、動けることを確認し安心したとの感想が聞かれた。【考察】フォンタン手術後早期心リハを実施したことで離床が進み、胸腔ドレーンの早期抜去及び早期退院につながったと考える。先天性心疾患手術後患者は、術前より活動範囲が狭く手術直後ではさらに狭くなることが予測されるが、術後早期より心リハを導入したことで、速やかに活動範囲を広げ、患者教育の一助となることが示唆された。