第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

川崎病・冠動脈・血管

ミニオーラルセッション17(III-MOR17)
川崎病・冠動脈・血管 2

2018年7月7日(土) 09:00 〜 09:35 ミニオーラル 第3会場 (313)

座長:深澤 隆治(日本医科大学 小児科)

[III-MOR17-01] 川崎病治療における免疫グロブリン製剤の投与方法に関する検討

中島 康貴, 原田 達生 (福岡赤十字病院 小児科)

キーワード:川崎病, 免疫グロブリン, 再発熱

【背景】大量免疫グロブリン療法は川崎病の標準治療であり、初回の2g/kgの投与が一般的になっている。当院では、病日が早く、群馬スコアが低い症例に対して、治療が早すぎる場合の治療の有効性に関する懸念のため、1日に1g/kgずつ2日間での投与も行ってきた。1g/kgずつの2日間での投与と2g/kgの1日での投与の優劣についてはこれまで報告されていない。
【方法】2016年1月から2017年12月の二年間に当院で治療した川崎病148例のうち、治療開始病日が4、5病日でかつ治療開始時の群馬スコアが5点未満の症例を対象とした。対象症例を初期治療としてIVIG 2g/kgを投与する際に1日あたり1g/kgを2日間で投与を行った群(A群)及び2g/kgを1日で投与した群(B群)の2群に分け、治療開始病日及び群馬スコアが同じ症例を1対1で両群より抽出し、治療反応性について比較を行った。
【結果】1g/kgずつ2日間で投与した症例16例、2g/kgを1日で投与した症例16例を比較した。月齢はA:B=29.1±19.2:29.4±23.7 (p=0.97)、治療開始病日はA:B=4.4±0.5:4.4±0.5 (p=1)、群馬スコアはA:B=2.1±1.3:2.1±1.3 (p=1)であった。また、治療開始時の白血球数 A:B=14600±5000:12700±5800/μl (p=0.34)、CRP A:B=5.6±3.5:5.5±3.8mg/dl (p=0.95)には差はなかった。追加治療を必要とした症例は、A:B=4/16:1/16 (p=0.33)とA群に多かったが、有意差はなく、IVIG以外のインフリキシマブや血漿交換等の治療を行った症例はB群に1例のみであった。治療後に追加治療の有無を問わず、再発熱を認めた症例は、A:B=11/16:3/16 (p=0.01)とA群で有意に多かった。また両群とも冠動脈病変を認めた症例はいなかった。
【結論】1g/kgずつ2日間の投与を行った場合に、再発熱の症例が多かった。病日が早めの症例であっても、2g/kgの1日での投与が望ましいと考えられた。