[III-OR32-04] 純型肺動脈閉鎖症における経皮的肺動脈弁形成術前後での左心機能変化の検討
キーワード:純型肺動脈閉鎖, 経皮的肺動脈弁形成術, 左心機能
【背景】当院では純型肺動脈閉鎖症は三尖弁や右室形態、また右室冠動脈瘻の有無で2心室修復を目指せる可能性があると判断した場合、順行性血流を作るために経皮的肺動脈弁形成術を行っている。経皮的肺動脈弁形成術前後での左心機能の変化を検討した報告は少ない。【方法】2014年12月から2017年12月に当院で診断された経皮的肺動脈弁形成術(PTPV)を施行した純型肺動脈閉鎖症の8症例を対象とし、経皮的肺動脈弁形成術前後(PTPV施行前と施行後10日から14 日後)で左心機能の変化を後方視的に検討した。【結果】出生時週数は39週(36ー40)、出生時体重は2.9kg(2.0-3.9)、出生後からPTPVまでの期間は14日(4-60)であった。BTシャント施行後にPTPVを行った症例が1例あり、フォローアップ期間中に動脈管開存を認めた症例が3例あった。いずれの症例でも施行前後での循環作動薬の使用はなかった。PTPV施行前後の心エコー検査では左室のE/Aは0.77(0.60-0.86)から0.70(0.69-0.90)、TRPG は100mmHg(77-120)から50 mmHg(45-80)、LVEFは63.8%(58.7-67.0)から55.5%(52.0-64.0)、%FSは32%(25-34)から26%(22-29)に変化していた。PTPV施行前後ではTRPG、LVEF、%FSが有意差をもって低下していた(p=0.016、p=0.015、p=0.010)。また心臓カテーテル検査時の右室拡張期末期容量(%N)とPTPV施行前後で心エコーによるLVEFの差に高い負の相関がみられた(r =-0.929, p=0.006)。【考察】過去の報告ではPTPV施行後、一旦、心機能が低下し、10日程度かけて回復するといわれている。今回の検討ではカテコラミンサポートを有する状況ではないものの、心機能低下が施行後10-14日の期間も持続していた。特に右室容量が小さい場合、PTPV施行後は慎重に心機能をフォローしていく必要がある。