第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム12(III-S12)
Taped Case3

2018年7月7日(土) 10:20 〜 11:50 第1会場 (メインホール)

座長:高室 基樹(北海道立子ども総合医療・療育センター)
座長:中川 直美(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
コメンテーター:杉山 央(東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児科)
コメンテーター:西川 浩(中京病院中京こどもハートセンター 小児循環器科)
コメンテーター:脇 研自(倉敷中央病院 小児科)

[III-S12-03] ノルウッド-両方向性グレン手術後超急性期カテーテルインターベンション

葭葉 茂樹, 小林 俊樹, 今村 友彦, 連 翔太, 長田 洋資, 中野 茉莉恵, 小柳 嵩幸, 小島 拓朗, 住友 直方 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

キーワード:術後早期カテーテル治療, ステント, ノルウッドグレン手術

【背景】術後血管狭窄病変に対するカテーテルインターベンションの有用性は明らかである.しかし合併症リスクを考慮した適切な治療時期に関するコンセンサスはない.【目的】開心術後の狭窄病変に対する治療戦略決定,低侵襲で安全なカテーテルインターベンション.【対象】1歳,2.7kg,左室低形成/僧帽弁狭窄/大動脈狭窄/心室中隔欠損/総肺静脈還流異常,食道閉鎖,日齢7 Hybrid stage 1.1歳時にノルウッド両方向性グレン手術.【経過】術後経胸壁心エコーで,a. 左肺動脈強度狭窄,b. グレン吻合部の血流加速を認めた.aは左肺動脈絞扼術部残存狭窄と新たな大動脈による圧迫のため,bは右肺動脈絞扼術部に近いグレン吻合であるためと判断.術後4日目にカテーテル治療を計画.【カテーテル治療経過】1.Vascular access:右内頸静脈閉塞,左内頸静脈からアプローチ.左右大腿静脈閉塞のため左内頸静脈にCVカテーテル留置中.エコーガイド下で左内頸静脈穿刺,シース挿入.2.狭窄部位の評価:シースから無名静脈造影を行い血管径測定.左肺動脈狭窄部径1mm,周囲正常肺動脈径5.7-6mm,狭窄部長16mm,グレン吻合4mm.3.デバイス選択:大動脈圧迫の影響,血管損傷リスクを考慮しprimaryに Express SD 6mm*18mm留置を選択.4.狭窄部へのアプローチ:JRカテーテルを肺動脈左側へむけ親カテとし,0.025ラジフォーカスを通したマイクロカテーテルで狭窄部位を通過.冠動脈治療用0.014ガイドワイヤーに入れ替えた.5.ステント留置:ステント遠位端が肺動脈分岐にかからないよう,近位端がフォンタン手術の際影響がでないよう位置確認.確認造影を慎重に行い留置.6.バルーン拡張:ステントシステムの拡張バルーンでグレン吻合部を拡張.シース挿入から止血まで手技時間38分.【結語】術後超急性期カテーテルインターベンションは有効な治療である.適切に短時間で終了することができれば,低侵襲で手技完了できる可能性が高い.