[P01-01] Small gestational ageと先天性心疾患
キーワード:先天性心疾患, Small for gestational age, 新生児
【はじめに】Small gestational age(SGA)と先天性心疾患(CHD)との関連については集団ベースでの検討がわずかに散見されるのみであり、正確な有病率や予後については明確でない。我々は出生後早期の新生児に心臓超音波検査(心エコー)を行い、CHDと診断した症例を前方視的に調査追跡しSGAにおけるCHD有病率と予後について検討を行った。【対象と方法】対象は2005年5月から2015年4月の間に浜松医大附属病院で出生した新生児連続6041例(男児3068例、女児2973例)。日齢0~4(平均2.2±1.0日)に対象者全員に心エコーを行いCHDと診断された症例を調査し、CHD症例をSGA群と非SGA群に分類し背景因子の比較と追跡を行った。【結果】対象全体のうちSGAは401例(6.6%)、CHDは291例でCHD有病率は1000人あたり48.2人であった。CHD症例のうちSGA群は46例、非SGA群245例で、SGA群のCHD有病率は1000人あたり114.7人と非SGA群(43.4人)に比べ有意に高値であった(p<0.001)。またSGA群は非SGA群に比べ出生体重(SGA群1908±552g, 非SGA群2989±338g)だけでなく在胎週数(SGA群36.5±3.4週, 非SGA群38.9±1.4週)も有意に少なかった(それぞれp<0.001)。疾患内訳はSGA群、非SGA群ともに心室中隔欠損が最多(それぞれ52.3%、56.7%)であったが、SGA群では重症CHDが9例(19.6%)と非SGA群(19例, 7.8%)に比べ有意に高値であった(オッズ比(OR)2.89, p=0.025)。またSGA群では染色体異常合併が11例(23.9%)と非SGA群12例(4.9%)に比べ有意に高値であった(OR6.10, p<0.001)。SGA群の5年生存率と5年無イベント生存率(手術回避率)は90.9%、63.6%で非SGA群(99.6%、87.8%)と比べ有意に低かった(それぞれp<0.0001)。【結語】本研究は出生後早期の新生児に心エコーを行いSGAとCHDとの関連を検討した最多数例の報告である。本研究によりSGAはCHD有病率が極めて高いこと、非SGA症例に比べ重症CHDが多く中期予後は生存率・手術回避率ともに低いことが明らかとなった。