[P12-04] 無症候性の心房中隔欠損症におけるCMRの役割
キーワード:心房中隔欠損症, CMR, 肺体血流比
【はじめに】心電図異常や心雑音などを契機に発見された無症候の心房中隔欠損(ASD)には短絡量が多く右室容量負荷が強い治療適応例から、短絡が少なく経過観察可能なものまで様々である。治療適応や合併症の有無についての評価にはCMRや心臓カテーテル検査が有用であるが、検査時間・費用・侵襲度などの問題から全例に行うことは困難である。【目的】心エコーの短絡径から精査すべき症例の抽出が可能かを探ること。【対象と方法】2014年1月から2017年12月までの間に、CMRによる肺体血流比の測定と経胸壁心エコー検査(TTE)・経食道心エコー検査(TEE)による欠損孔の評価とを行ったASDの25症例(年齢:15.2±4.2歳、男女比11:12)。CMRによる肺体血流比測定(CMR-QP/QS)は位相差コントラスト法で上行大動脈血流量と肺動脈血流量を測定して求めた。またTTE/TEEによる評価は欠損孔の最大径を体表面積で除した径(補正最大径)を用いた。【結果】TTE補正最大径とTEE補正最大径との間には強い正の相関を認めた(R2=0.77)。なお,無症候例は20例、症候例は5例だった。無症候例についてはTTE補正最大径/TEE補正最大径とCMR- QP/QSとの間にそれぞれ強い正の相関を認めた(R2=0.74/R2=0.75)。補正最大径>6mm/m2のASDはQp/Qs>1.5となる症例がほとんどだったが、1例のみ補正最大径=10.2mm/m2にも関わらずQp/Qs=1.2であり、右室低形成と運動時のチアノーゼを伴っていた。また症候例の検討ではASD最大径に比してQp/Qsが小さい症例は肺高血圧・多発奇形・染色体異常合併例だった。【まとめ】症候性ASDはもちろん、無症候性ASDでもTTEで6mm/m2以上の欠損孔であればCMRにてQp/Qsの評価を行い、欠損孔の大きさに見合わずQp/Qsが小さい場合などは心臓カテーテル検査による評価を追加することが有用である。