第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション18(P18)
外科治療 3

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:圓尾 文子(加古川中央市民病院 心臓血管外科)

[P18-02] 右側大動脈弓に合併した左鎖骨下動脈孤立症に対し左鎖骨下動脈の再建を行った2症例

廣岡 秀人, 五味 聖吾, 内田 徹郎, 浜崎 安純, 黒田 吉則, 水本 雅弘, 山下 淳, 石澤 愛, 赤羽根 健太郎, 貞弘 光章 (山形大学医学部外科学第二講座 循環・呼吸・小児外科学分野)

キーワード:鎖骨下動脈孤立症, 右側大動脈弓, 鎖骨下動脈盗血症候群

【はじめに】鎖骨下動脈孤立症は右側大動脈弓の発生過程の異常により生じる希な疾患である。今回左鎖骨下動脈孤立症に対し左鎖骨下動脈再建を行った2症例を報告する。
【症例1】2歳6カ月女児。胎児診断で左多嚢胞性異形成、大動脈騎乗を指摘されていた。生後ファロー四徴症、肺動脈狭窄、右側大動脈弓、左鎖骨下動脈起始異常、心房中隔欠損症と診断された。経過観察中、精神運動発達遅滞を認め、Qp/Qs 1.7、Rp 1.5で手術を施行。手術はファロー四徴症根治術+左総頸動脈への左鎖骨下動脈再建を施行。術後造影CTで再建吻合部問題なく、第16病日に退院した。術後、精神運動発達遅滞は改善は認めていない。
【症例2】0歳2ヶ月男児。胎児診断で羊水過多、右側大動脈弓、右側動脈管を指摘されていた。生後右側大動脈弓、心室中隔欠損症(小欠損)、孤立性左鎖骨下動脈、両側動脈管開存、卵円孔開存と診断された。左鎖骨下動脈の血流は椎骨動脈からの逆行性の血流を認め、また左側動脈管を介した肺動脈との両方向性の血流を認めた。将来的な脳血流の盗血現症を危惧し、外科手術の方針とした。手術は左総頚動脈への左鎖骨下動脈再建+左動脈管結紮術を施行。術後エコーで左鎖骨下動脈吻合部の狭窄なく、左椎骨動脈は順行性の血流を認めた。脳障害なく第14病日に退院した。術後経過観察中に22q.11.2欠失症候群が判明した。
【考察】左鎖骨下動脈孤立症では鎖骨下動脈盗血症候群を来す。通常小児例では盗血症候群の症状はほとんど認められないと言われているが、神経症状や脳梗塞を来たした症例もあるという報告もみられる。また、合併心奇形を伴う症例で鎖骨下動脈再建を行わなかった症例で後に症候性の盗血症候群となった報告もある。
【まとめ】盗血症候群は脳の虚血症状を来す可能性があり、鎖骨下動脈再建は複雑な手技を必要としないため、乳幼児期には外科的介入を十分に検討する必要がある。