[P20-01] 学校心臓検診におけるQT延長症候群の抽出に関するQT計測ソフトの有用性
キーワード:QT延長症候群, 学校心臓検診, 自動計測
背景:QT時間の測定にはマニュアル計測による接線法が必要とされているが、多数例の心電図を解析する学校心臓検診では煩雑である。また心電計の微分法による自動解析のみで抽出すると偽陽性による精密検査例が多くなる。目的:QT計測ソフト QTD-2○R(以下QTD-2)による接線法での自動計測がQT延長症候群の検出に有用か検討する。対象と方法:対象は、2015-2017年に富山市の小学1年および中学1年に施行した学校心臓検診で自動計測(微分法)によりQT延長と抽出された1次検診12誘導心電図(抽出基準Fridericia補正QTc(以下QTc(F))>450ms)。1次検診抽出心電図に対して、2次検診としてQTD-2で解析し、QT延長症候群精密検査例として抽出した。結果:各年度の自動計測によるQT延長抽出人数および心臓検診総数は各年度でそれぞれ小学1年5人/3769人(0.1%)、5人/3722人(0.1%)、12人/3604人(0.3%)および中学1年で39人/4141人(0.9%)、49人/4152人(1.2%)、38人/4070人(0.9%)であった。QTD-2を用いた解析後の抽出例は小学1年で2人/5人、1人/5人、4人/12人および中学1年で19人/39人、2人/49人、9人/38人であり、各年度で小学1年60.0%、80.0%、66.7%および中学51.3%、95.9%、76.5%の3次検診へのQT延長症候群精密検査例を減少させた。また、QTD-2の計測値と医師による接線法の計測値はそれぞれ小学1年433.4±13.3ms vs. 438.6±15.6ms、中学1年435.2±14.2ms vs. 435.9±14.2msであり、相関係数は0.85および0.94であった。QTD-2と医師の目視の間で計測値が大きく異なった心電図の特徴は、T波高が小さい時と基線が大きく揺らいでいる時であった。結論:QTD-2による計測値は医師の目視による計測値と良い相関があり精度が高かった。多くの心電図を解析する必要のある学校心臓検診ではより正確に抽出することが可能であり有用であった。