[P23-03] 先天性心疾患児における胎児診断の現状とその役割
キーワード:胎児診断, 先天性心疾患, 新生児期治療
【背景】先天性心疾患(CHD)における胎児診断例は増加しつつある。一方で胎児期未診断の重症CHD児も存在する。そこで新生児CHDに治療における胎児診断の現状と役割を検討した。【対象と方法】2012年以降、当院NICUに新規入院したCHD193例(男109:TOF29、TGA24、COA/IAA22等)を対象とし、新生児~乳児早期に手術やカテーテル治療などの積極的治療を要した例を重症例とした。胎児診断74例と非診断119例の2群間で生存率(Kaplan-Meier法)と初回の治療介入までの期間(t検定)を比較検討した。【結果】出生週数は中央値39(33-42)週、出生体重は中央値2874(1250-4338)gで2群間に差はなかった。胎児診断例内訳はTOF14、DORV9、PAIVS6、TGA6等であった。胎児診断群、非診断群の5年生存率はそれぞれ80%、90%で有意に診断群の方が低かった(p=0.04)。重症例は胎児診断群34%、非診断群52%であり、重症例に限った5年生存率は胎児診断群85%、非診断群95%で2群間に有意差はなかった(p=0.35)。次に、治療介入日齢は胎児診断群18(0-182)日に対し、非診断群32(0-197)日で診断群でより早期治療介入が必要であった(p=0.02)。【考察】胎児診断群では重症例が多く生存率が低かった。胎児診断群では治療介入日齢も低いことから症状の進行・コンディション悪化前に治療介入できていたことがうかがえた。一方で、非診断群の中にも日齢0での緊急治療を要した症例が9例存在した。これらの症例を見逃すことなく診断することが重要で、胎児診断の一層の精度向上が望まれる。