第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション29(P29)
染色体異常・遺伝子異常 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:田村 真通(秋田赤十字病院 小児科)

[P29-01] 先天性門脈体循環シャントおよび肺内シャントを合併した先天性角化不全症の一例

櫻井 牧人, 野村 知弘, 山口 洋平, 前田 佳真, 土井 庄三郎 (東京医科歯科大学医学部付属病院 小児科)

キーワード:先天性角化不全症, 先天性門脈体循環シャント, カテーテル治療

【症例】7歳男児【病歴】先天性角化不全症(DKC1遺伝子変異)に伴う骨髄不全に対して5歳時に非血縁者間骨髄移植が施行されている。移植後1年が経過した頃から呼吸苦、SpO2の低下が出現。肺血流シンチグラフィおよび心コントラストエコー法で肺内シャントの存在が疑われたため、7歳時に心臓カテーテル検査を施行した。カテーテル検査結果:肺体血流比0.6(右左シャント率60%) 、肺動脈圧21/10(14)mmHg,肺血管抵抗係数0.6wood単位・m2、肺動脈造影では左右肺静脈の造影時相が早く、びまん性の微小肺動静脈瘻の存在が示唆された。また血中ヒアルロン酸や4型コラーゲンの上昇があり、肝線維化が疑われ、腹部CT検査で脾静脈から腎静脈へ流入する門脈体循環シャントが確認された。肝内門脈の欠損は認めなかった。以上の検査結果から先天性肝外門脈体循環シャントtype2に肝肺症候群(Hepatopulmonary syndrome:以下HPS)を合併したものと考えた。低酸素血症は進行性であり、今後の治療としてシャント血管の結紮や塞栓術の適応について検討している。【考察】先天性角化不全症(Dyskeratosis congenita; 以下DC)は染色体のテロメアの維持機能障害を背景とし、主に皮膚、爪、口腔粘膜に特徴的な所見を有する遺伝性骨髄不全症候群である。原因遺伝子としてDKC1,TERC,TERT, NOP10,NHP2,TINF2が明らかにされている。DCでは全身性に様々な症状を引き起こすが、心疾患や血管異常との合併は少なく、門脈体循環シャントやHPSを合併した症例は過去に報告がほとんどない。本症例の特徴や治療戦略について文献的考察を踏まえ報告する。