第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理

ポスターセッション31(P31)
集中治療・周術期管理 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:渋谷 和彦(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[P31-02] 当院における先天性心疾患に合併する新生児壊死性腸炎についての検討

稲熊 洸太郎1, 坂崎 尚徳1, 豊田 直樹1, 石原 温子1, 前田 登史2, 加藤 おと姫2, 渡辺 謙太郎2, 吉澤 康祐2, 藤原 慶一2 (1.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児循環器内科, 2.兵庫県立尼崎総合医療センター 心臓血管外科)

キーワード:NEC, CHD, neonate

【背景】壊死性腸炎(NEC)は、発症要因として腸管虚血が指摘されている。新生児期に手術を行う先天性心疾患(CHD)において、NEC発症の危険性を念頭においた周術期管理が必要となる。近年、当院でNEC発症例が増えており、2012年以降頻繁に行っているN2吸入との関連がないかを含め検証した。【方法・対象】2006年1月から2017年12月の間に当院で新生児期に心臓手術が必要となった患者202例を対象に、NEC発症例(A群)と非発症例(B群)に分けて周産期歴、臨床データ、周術期管理、NEC発症時期と転機について診療録から調べ、2群の比較を行った。【結果】A群は5例(Truncus2例、TGA1例、DORV1例、CoA+AVSD1例)、B群は197例で、在胎週数および出生体重はそれぞれ38週(37-39)/37週(22-42)、2.8kg(2.6-3.4)/2.8kg(0.5-4.3)であった。N2吸入例の割合はA群3/5例(60%)/B群34/197例(17%)でA群が有意に高かった(p=0.043)が、A群のNEC発症前のSPO2とB群の術前SPO2の平均値に有意差を認めなかった。PGE1製剤使用例はA群3/5例(60%)/B群114/197例(58%)(P=1.0)、と有意差はなかった。NEC発症時期は日齢13(4-36)、心臓手術前発症が3例(日齢4,1317)、術後発症が2例(それぞれPOD2、35)であった。5例全例生存しており、うち3例はその後に人工肛門閉鎖に至っている。【考察】N2吸入療法は、NECに関連していたが、SPO2については両群間に有意差はなく、低酸素を含めN2療法に関連するNECの発症要因は証明できなかった。N2吸入により腸管血流を含む体血流が増えるにもかかわらずなぜNECと関連しているのかは不明であるが、腸管の酸素欠乏が影響している可能性は否定できない。当院ではN2吸入時にはNIRSモニターを用いて、腹部または下肢のrSO2を測定しNECの予防を図っている。【結論】本研究において、N2療法とNECとの関連を認め、N2吸入時には腸管の低酸素状態に注意して管理してゆく必要がある。