第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心臓血管機能

ポスターセッション37(P37)
心臓血管機能 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:上田 知実(榊原記念病院 小児循環器科)

[P37-03] 層別ストレイン解析を用いた大動脈縮窄症、大動脈離断患者の心機能の評価

井福 真友美1, 高橋 健1, 磯 武史1, 矢崎 香奈1, 重光 幸栄1,2, 山田 真梨子1, 小林 真紀1, 稀代 雅彦1, 清水 俊明1 (1.順天堂大学 小児科, 2.川崎協同病院 小児科)

キーワード:心機能, 大動脈縮窄症, 層別ストレイン

【背景】大動脈縮窄症(CoA)や大動脈離断(IAA)は修復術後も、左室後負荷増大による二次性左室肥大と心機能低下を来たし予後不良な症例がある。【目的】左室の内層及び中層・外層strainを用い、小児から若年成人までのCoA、IAAにおける心機能の特徴を評価すること。【方法】対象は6歳から25歳のCoA群15例(CoA13例、IAA2例)および正常対照群42例。胸骨傍短軸像より左室の心基部および心尖部の回転角度および左室ねじれ角度(Torsion)、心基部、乳頭筋部、心尖部レベルの円周方向Strain (CS)を、心尖部4腔断面像より長軸方向Strain (LS) を計測した。ストレインは内層、中層、外層において計測した。【結果】年齢はCoA群14.7±6.7歳、正常対照群13.5±5.5歳。CoA群は全例でNYHA1であった。左室駆出率に有意差は認めなかった。心尖部Rot(5.13 ± 4.1% vs. 8.54 ± 3.5%、p = 0.0033)の低下により、Torsion(7.65 ± 4.6% vs. 10.7 ± 4.3%、p = 0.024)がCoA群で正常群より低下した。心基部での内層CS (-19.8 ± 5.8% vs. -24.5 ± 2.5%、 p < 0.001)中層CS(-14.3 ± 4.7% vs -18.2 ± 2.0%、p < 0.001)および外層CS(-10.5 ± 3.8% vs. -13.2 ± 2.3%、p = 0.002)と乳頭筋部での内層CS (-21.4 ± 7.0% vs. -24.9 ± 2.9%、 p = 0.008)中層CS(-14.6 ± 4.4% vs -17.1 ± 2.3%、p = 0.006)が低下した。また、心尖部での中層CS(-19.0 ± 4.7% vs. -16.7 ± 3.1%、p = 0.03)および外層CS(-14.6 ± 5.5% vs. -11.0 ± 3.5%、p = 0.005)がCoA群で正常群より増加した。【結論】CoA群において、心基および乳頭筋部においてCSが低下しており、収縮力低下が示された。それに対し、心尖部のCSが増加しており、大動脈弁狭窄症でも認める様な後負荷増大に対する代償期の変化を表している可能性がある。これらは小児期から若年成人までの、CoA、IAA術後の心機能の特徴の一つと考えられた。