第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション39(P39)
外科治療 5

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:小谷 恭弘(岡山大学 心臓血管外科)

[P39-03] 超低出生体重児動脈管開存症の閉鎖術をどこで行うか?

安達 理1, 伊藤 智子2, 埴田 卓志2, 河津 聡1, 齋木 佳克1 (1.東北大学病院心臓血管外科, 2.東北大学病院小児科)

キーワード:動脈管閉鎖術, 低出生体重児, NICU

【背景】COX阻害剤抵抗性の動脈管開存のメカニズムとして、COX阻害剤の投与では血管平滑筋の収縮による一時的な機能的閉塞は来すものの、PGE2依存性の内膜肥厚は抑制されるため、動脈管内膜の肥厚が不十分な低出生体重児では構造的閉塞には来しにくいことが分かってきており、当院では比較的早期の動脈管閉鎖術を導入している。早期手術をjustifyするための低侵襲化の一つとして、手術室への搬送中のトラブルや換気不良、体温低下を防ぐ目的でNICUでの閉鎖術を導入した。【目的】超低出生体重児に対する、NICU(N群)もしくは手術室(OR群)での閉鎖術の成績を比較検討する。【方法】対象は2013年以降の低出生体重児動脈管開存に対する閉鎖術。NICUでの手術の適応は体重800g未満、HFO導入中、脳出血の既往とし、段階的に導入した。NICUでの手術は保育器の中で行なった。【結果】患者背景としてN群(37例)はOR群(25例)に比し、在胎週数が短く(N群24.1±0.2週vsOR群25.1±0.3週)、日齢が低く(5.3±1.0vs9.1±1.2)、手術時体重(566±24g vs 679±29g)が低かった。手術時間(分)に有意差は無かった(21.8±1.9vs26.4±2.3 p=0.12)。術後体温はN群で体温の逸脱(36℃以下38℃以上)が有意に少なかった(p=0.02)。術後心拍数やPCO2、術後/術前Lactateの比には有意差はなかった。創感染は両群ともなし。閉鎖術後の新規脳出血はNICU群で高い傾向(16% vs 4% p=0.058)が認められた。全死亡は有意差は無かった(14% vs 8% p=0.69)。【考察】NICUでの低出生体重児に対する閉鎖術はより条件の悪い患児が多いにも関わらず、手術室と同等の閉鎖術が可能で、成績も同等であった。新規脳出血に関してはより未熟性が強いものが多かったからと思われる。