第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション43(P43)
成人先天性心疾患 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:嘉川 忠博(榊原記念病院循環器 小児科)

[P43-02] 完全大血管転位症の術後遠隔期に両半月弁置換を施行した1例

杉野 充伸1, 浦山 耕太郎1, 新田 哲也1, 田原 昌博1, 山田 和紀2 (1.あかね会土谷総合病院 小児科, 2.あかね会土谷総合病院 心臓血管外科)

キーワード:TGA, ASO, 弁置換

【背景】完全大血管転位症(TGA)は術後遠隔期に様々な諸問題が生じる。今回、動脈スイッチ術(ASO)後30年経過して、両半月弁を機械弁に置換した症例を経験したので報告する。【症例】30歳男性。TGA(II)で、乳児期にASOを施行。次第に肺動脈弁狭窄の進行あり、2歳時にtrans annularでのPA patch plastyを行った。その後も末梢性肺動脈狭窄は残存し、バルーン治療が追加されたが、無効であった。ASO後30年経過し、動悸を主訴に受診。肺動脈弁と両側PAの狭窄およびPR、右室拡大に伴うTRが顕著であり、右心不全となっていた。上行大動脈は瘤状に拡大しPAを圧排、ARも出現していた。外科的介入の必要性を説明し、再手術を行った。2弁同時置換する方針となり、AVR(SJM27mm)+PVR(SJM25mm)+TAP(Phusio ring 30mm)+AscAo plasty+左PAの人工血管置換+PA plastyを行った。術後1日目に抜管。術後10日目に造影CTで左肺動脈内の血栓閉塞が判明し、術後13日目に左肺動脈内の血栓除去術を追加した。その後、左側優位で肺炎および胸水の貯留を認め、長期間抗菌薬の投与を行ったが、軽快し術後61日目に退院となった。退院前に行った心臓超音波検査で、右室圧低下および右心機能は改善した。【考察】ASO後の遠隔期に、大動脈基部拡大およびAR増悪の危険因子として、肺動脈絞扼術の先行、VSD、Taussig-Bing奇形があるが、ASO後に大動脈弁への再手術介入率自体は低いことが知られている。本例では、中等度のARおよび上行大動脈の拡大を合併しており、両弁への同時介入を行った。今後、ASO後の成人先天性心疾患の患者が増加することによって、両半月弁に介入せざるを得ない症例が増加することが予想される。