[P44-04] 小児期左側房室弁置換症例の遠隔期成績
キーワード:弁置換, 遠隔期, 再手術
(背景)小児弁置換例は弁選択、長期の抗凝固療法、成長発育に伴う遠隔期の人工弁狭窄等が問題となる。今回小児期に弁置換術を余儀なくされた左側房室弁置換術の遠隔期成績を検討した。(対象)2018年までに左側房室弁置換を施行した10歳以下の乳幼児15例。手術時年齢は平均3歳5カ月(3月-9歳1月)、平均体重10kg(4.5-17)。原疾患は先天性MR3、弁形成術後MR5(AVSD3,pAVSD2)、AVSD4、ccTGA+Ebstein1、MS1、MCLSによるMR1例。使用弁はBS2、SJM12、ATS1個、サイズは16-27mm、経過観察可能であった15例の平均追跡期間25.1年、中央値30.9年であった。(結果)血栓弁が2例(SJ19:6か月、BS17:18か月)で1例は血栓溶解療法で軽快。遠隔死は4例(18か月:血栓弁、7年:突然死、8年:薬疹による多臓器不全、1年:不整脈)。再弁置換は5例7回、うち成長に伴うMSに対するものは3例4回。再弁置換時の人工弁の弁口面積はRowlattの正常値の70%以下であった。いずれも2size upの弁が挿入可能であった。他はIEによる再置換1例、SJMの弁輪変形による弁機能不全への再手術1例、妊娠希望による生体弁への置換1例を認めた。成人に達した(18歳以上)の10例の現在の就労状況は学生1、パートタイム2、フルタイム3、主婦1。妊娠は1例で認め、妊娠早期のヘパリンへの切り替えを行ったが流産した。弁関連のactual event free survivalは5年で57.1±18.7%、10年で42.9±18.7%と不良であった。(結論) 弁関連のactual event free survivalは不良であった。弁口面積がRowlattの正常値の70%以下となる頃に成長に伴う再弁置換を要した。再弁置換の際、弁輪も成長し2size大きい人工弁挿入が可能であった。成長期に達した症例のADLは良好で就学、就業状況も良好であった。