The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

カテーテル治療

ポスターセッション55(P55)
カテーテル治療 4

Sat. Jul 7, 2018 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:中川 直美(広島市立広島市民病院 循環器小児科)

[P55-01] 経皮的血管形成術後に腎血管性高血圧が遷延する乳児腎動脈狭窄の1例

山岡 大志郎1, 富田 英2, 籏 義仁2, 藤井 隆成2, 伊吹 圭二郎2, 佐々木 赳2, 山口 英貴2, 清水 武3 (1.昭和大学横浜市北部病院, 2.昭和大学病院 小児循環器・成人先天性心疾患センター, 3.昭和大学病院 小児科)

Keywords:腎動脈狭窄, 腎血管性高血圧, 経皮的血管形成術

【緒言】腎動脈狭窄は乳幼児期には稀である。経皮的血管形成術に腎血管性高血圧が遷延した1歳男児例を報告する。【症例】1歳男児、体重7.6kg。収縮期血圧は180mmHg以上で、左室壁肥厚を認めた。選択的腎動脈造影で右腎動脈本幹に限局性の高度狭窄、患側腎の萎縮と健側腎の肥大、レニン活性異常高値(66.6 ng/ml/h)を認めた。当初ニカルジピンの持続静注を要し、最終的にアムロジピン、カルベジロール、ドキサゾシンと内服薬の3剤併用を行った。高血圧が治療抵抗性で左室肥大を伴い、狭窄が中枢側に限局していたことから、経皮的血管形成術の適応と判断した。狭窄部前後の健常腎動脈は2mmと非常に細く、末梢血管用バルーンカテーテル(SHIDEN 2mm/2cm)を用いて拡大を行った。狭窄は良好に拡大され血流も改善したが、降圧効果が得られず治療後3カ月の時点で内服薬の減量は出来ていない。【考察】本症例は血管炎を示唆する所見がなく、限局した狭窄の形態から線維筋性異形成の可能性が高いと思われた。線維筋性異形成全体のうち小児例は約3%で、ほぼ全例で高血圧を来たす。一方、2歳未満発症の腎動脈狭窄は小児全体のうち2割以下で、原疾患が特定できないことが多いとする報告もある。また、小児では経皮的血管形成術で降圧が得られる率は60~80%程度と成人に比較して低く、無効例の原因として腎内の末梢動脈の狭窄残が指摘されている。本症例は体格が小さいため、主病変以外の健常腎動脈分枝の径が中枢部でも1~2mm程度と非常に細く、視認できない程度の狭窄の存在や新たな狭窄の出現などの可能性も考えられ、再検索が必要である。【まとめ】腎動脈狭窄に対し経皮的血管形成術を施行した1歳男児例を経験した。経皮的血管形成術で形態的な改善が得られたにもかかわらず降圧効果は乏しく、今後も原因検索と慎重な経過観察を要する。