[P58-05] 右房内血栓を合併した肺塞栓症に対し手術を施行し救命した2例
キーワード:肺塞栓症, 右房内血栓, 摘出術
【緒言】肺塞栓症は小児ではまれであるが,我々は基礎疾患の異なる右房内血栓を合併した肺塞栓症を2例経験し,手術を施行し救命したので報告する。【症例1】症例は5歳男児。40度の発熱と咳嗽を契機に肺炎を発症し,第5病日に近医より地域中核病院に紹介となり,マイコプラズマ肺炎と診断された。第9病日には解熱が得られたが,第10病日に突然SpO2 70まで低下し,心臓超音波検査で右心負荷所見を認めたため造影CTを施行したところ,両側の肺動脈に肺塞栓症の所見を認めた。挿管後も循環・呼吸が不安定だったためECMOを導入し当院紹介となった。その後の頭部CTでは右脳室内出血を認めた。第12病日の心臓超音波検査で右房自由壁に付着する11mm大の可動性のある腫瘤を認めた。第14病日のCTで脳室内出血が増悪しており脳室ドレナージを施行した。同時に右房内腫瘤および肺塞栓症に対して摘出術を施行し,ECMOを離脱できた。病理所見で右房内腫瘤および肺塞栓は血栓であった。第37病日にPICU退室し,第74病日に独歩退院となった。【症例2】症例は6歳男児。眼瞼浮腫を契機にネフローゼ症候群を発症し,近医より地域中核病院を経て第6病日に当院に転院となった。急性進行性糸球体腎炎として第7病日および第12病日にステロイドパルス療法を施行した。P-ANCAが陽性であったため,第17病日に心筋炎の検索として心臓超音波検査を施行したところ,壁運動は特に問題なかったが,右房自由壁に付着する20mm×10mmの腫瘤を認めた。造影CTで両側の肺動脈に肺塞栓症の所見も認めた。右房内腫瘤は大きく可動性もあり肺塞栓症を合併し酸素化も悪化している状況を考慮し,同日緊急で人工心肺下に摘出術を施行した。本症例も病理所見で右房内腫瘤および肺塞栓は血栓であった。第14病日にPICU退室し,現在は一般病棟にて加療中である。【結語】右房内血栓を合併した肺塞栓症は予後不良であり,積極的な外科的な介入が救命に寄与する。