[P58-06] 小児に対する左心系弁置換術の中期・遠隔期成績
Keywords:僧帽弁置換術, 大動脈弁置換術, 小児
はじめに:小児にとって理想的な人工弁は未だ開発されておらず、近年の報告の多くも小児期における弁置換治療の現状はsuboptimalと結論づけている。
目的:当院における左心系弁置換術による治療の現状を把握、課題を明らかにし、治療成績向上の一助とする。
対象と方法:1994年~2017年に、当院で手術時年齢が15歳以下で左心系(機能的体心室を含む)の弁置換術を受けた症例について、診療録より後方視的に調査した。
結果:MVR 17例、AVR 14例。全例機械弁による人工弁置換術が行われた。観察期間はMVR 2.9年(以降すべて中央値)、最長16.9年。AVRは7.9年、最長23.9年。MVRでは手術時1.8歳、乳児が4例あった。MSは2例であった。手術は弁を切除しsupra-annularに置換し、弁サイズはφ16-18が主であった。術前人工呼吸管理を要する重症心不全が5例、術後30日以内死亡が2例あった。術後はワーファリン、抗血小板薬、血管拡張薬、利尿薬を内服した。大出血や弁機能不全はなく、1年生存率68%、10年生存率61%であった。生存例はNYHA IIであった。成長に伴う相対的MSに対する再弁置換術が2例あった。AVRでは手術時11.9歳、AS/ARは5/9例で、男児9例であった。手術は6例で弁輪拡大を行い、弁サイズはφ18-21が主であった。術後30日以内死亡が1例あった。術後イベントは不整脈アブレーションが1例、術後9年に原因不明の突然死が1例あり、10年生存率は77%であった。生存例はNYHA I~IIであった。観察期間中の再弁置換はなかった。
まとめ:MVRは低年齢の重症例で、周手術期、術後早期の死亡例が目立った。 一方で乳幼時期をのり越えた経過は比較的良好で、低年齢時の心不全や全身感染を重症化させないことが、予後改善につながる可能性があると考えられた。当院でのAVRは主に心機能・全身状態の保たれた学童であった。現時点で再弁置換はないが、今後運動耐容能などを評価し、生涯にわたる予後改善につなげる必要があると考えられた。
目的:当院における左心系弁置換術による治療の現状を把握、課題を明らかにし、治療成績向上の一助とする。
対象と方法:1994年~2017年に、当院で手術時年齢が15歳以下で左心系(機能的体心室を含む)の弁置換術を受けた症例について、診療録より後方視的に調査した。
結果:MVR 17例、AVR 14例。全例機械弁による人工弁置換術が行われた。観察期間はMVR 2.9年(以降すべて中央値)、最長16.9年。AVRは7.9年、最長23.9年。MVRでは手術時1.8歳、乳児が4例あった。MSは2例であった。手術は弁を切除しsupra-annularに置換し、弁サイズはφ16-18が主であった。術前人工呼吸管理を要する重症心不全が5例、術後30日以内死亡が2例あった。術後はワーファリン、抗血小板薬、血管拡張薬、利尿薬を内服した。大出血や弁機能不全はなく、1年生存率68%、10年生存率61%であった。生存例はNYHA IIであった。成長に伴う相対的MSに対する再弁置換術が2例あった。AVRでは手術時11.9歳、AS/ARは5/9例で、男児9例であった。手術は6例で弁輪拡大を行い、弁サイズはφ18-21が主であった。術後30日以内死亡が1例あった。術後イベントは不整脈アブレーションが1例、術後9年に原因不明の突然死が1例あり、10年生存率は77%であった。生存例はNYHA I~IIであった。観察期間中の再弁置換はなかった。
まとめ:MVRは低年齢の重症例で、周手術期、術後早期の死亡例が目立った。 一方で乳幼時期をのり越えた経過は比較的良好で、低年齢時の心不全や全身感染を重症化させないことが、予後改善につながる可能性があると考えられた。当院でのAVRは主に心機能・全身状態の保たれた学童であった。現時点で再弁置換はないが、今後運動耐容能などを評価し、生涯にわたる予後改善につなげる必要があると考えられた。