[P59-03] 乳児期に発症し弁置換を施行した、交連乳頭筋癒合によると思われた孤発性僧帽弁閉鎖不全症の一例
キーワード:僧房弁閉鎖不全, 弁置換, 交連乳頭筋癒合
【背景】先天性僧帽弁疾患は、全先天性心疾患の0.2-0.4%を占めるが、孤発性僧帽弁疾患は稀で報告も少ない。今回我々が経験した孤発性僧帽弁閉鎖不全症の一例を報告する。
【症例】1歳6か月、女児。体重5.8kg。11か月時に心雑音を指摘され、心エコーで中等度の僧帽弁逆流を認めた。その他の心奇形は認めなかった。徐々に僧房弁逆流は重度となり、感染に伴い心不全増悪を繰り返し体重増加が得られず、僧帽弁に対して外科的介入を行う方針とした。その後再度感染に伴う心不全増悪あり、PICUで挿管、深鎮静での管理を余儀なくされ、準緊急で手術を施行した。
術中所見では前尖・後尖共にdysplasticで、特に後尖は多数のBasal Chordaeが左室後壁から付着していた。乳頭筋はそれぞれ通常のサイズであるものの直接交連部に付着しており、腱索はほとんど存在しなかった。弁形成は不可能と判断し、弁置換の方針とした。Carbomedics 16mmを挿入し、胸骨閉鎖の上、挿管下にPICUに帰室した。術後完全房室ブロックとなったが、徐々に心機能の改善は得られ、ペースメーカー植え込みは行わずに退院とした。現在1歳9ヵ月で外来フォローを継続中である。
【考察・結論】Carpentierらは、dysplasticな僧帽弁を有する群はその解剖学的特徴から、主に交連乳頭筋癒合(commissure papillary muscle fusion)、hammock僧帽弁、parachute僧帽弁に分類され、いずれも連続性のある病態であるとしている。本症例は乳頭筋形態の特徴から交連乳頭筋癒合に分類されると考えた。島本らは同疾患に対して弁形成が困難であった症例を報告いている。Guido oppidoらは交連乳頭筋癒合12人に対して弁形成を施行し、4人で再弁形成、2人で弁置換を要したと報告しており、その再手術率は高い。小児期の僧帽弁疾患に対する外科治療は可能な限り弁形成が選択されるが、患者の状態や弁形態により弁置換を選択することも必要となる。
【症例】1歳6か月、女児。体重5.8kg。11か月時に心雑音を指摘され、心エコーで中等度の僧帽弁逆流を認めた。その他の心奇形は認めなかった。徐々に僧房弁逆流は重度となり、感染に伴い心不全増悪を繰り返し体重増加が得られず、僧帽弁に対して外科的介入を行う方針とした。その後再度感染に伴う心不全増悪あり、PICUで挿管、深鎮静での管理を余儀なくされ、準緊急で手術を施行した。
術中所見では前尖・後尖共にdysplasticで、特に後尖は多数のBasal Chordaeが左室後壁から付着していた。乳頭筋はそれぞれ通常のサイズであるものの直接交連部に付着しており、腱索はほとんど存在しなかった。弁形成は不可能と判断し、弁置換の方針とした。Carbomedics 16mmを挿入し、胸骨閉鎖の上、挿管下にPICUに帰室した。術後完全房室ブロックとなったが、徐々に心機能の改善は得られ、ペースメーカー植え込みは行わずに退院とした。現在1歳9ヵ月で外来フォローを継続中である。
【考察・結論】Carpentierらは、dysplasticな僧帽弁を有する群はその解剖学的特徴から、主に交連乳頭筋癒合(commissure papillary muscle fusion)、hammock僧帽弁、parachute僧帽弁に分類され、いずれも連続性のある病態であるとしている。本症例は乳頭筋形態の特徴から交連乳頭筋癒合に分類されると考えた。島本らは同疾患に対して弁形成が困難であった症例を報告いている。Guido oppidoらは交連乳頭筋癒合12人に対して弁形成を施行し、4人で再弁形成、2人で弁置換を要したと報告しており、その再手術率は高い。小児期の僧帽弁疾患に対する外科治療は可能な限り弁形成が選択されるが、患者の状態や弁形態により弁置換を選択することも必要となる。