[P60-01] 先天性心疾患に合併する肺動脈組織病変が心内修復術後に与える影響について
キーワード:肺高血圧症, 肺血管病変, 外科治療
【背景・目的】左右短絡を伴う先天性心疾患において、二心室修復術に到達しえた場合でも肺高血圧症を伴う場合は周術期及び遠隔期に死亡または管理に難渋する症例が報告されている。今回我々は肺動脈絞扼術時に得られた肺組織検体を解析し、根治術後に与える影響について検討した。【方法】2015年5月より2017年3月までに高肺血流および低体重などの理由から肺動脈絞扼術(平均日齢73)が行われた7例を対象とした。診断は心室中隔欠損症4例(うち心房中隔欠損症合併1例、動脈管開存症合併2例)、完全型房室中隔欠損症3例であった。21Trisomyは5例であった。肺動脈絞扼術時に肺組織検体を採取し、閉塞性肺血管病変について検索した。肺小動脈内膜に病変がない5例(21Trisomy4例)をA群、内膜の細胞性肥厚を認める肺小動脈を有する2例をB群(21Trisomy1例)とした。【結果】肺動脈絞扼術後呼吸器合併症はなかった。肺動脈絞扼術後4.2カ月に行われたカテーテル検査では平均収縮期肺動脈圧A群38.4mmHg:B群33、収縮期左室圧79.3:80.5、短絡率1.5:2.2、肺血管抵抗2.3単位:1.8であった。全例が月齢6.6で根治術に到達した。根治術後10.4カ月に行われた心臓超音波検査では推定右室圧/左室圧A群25%:B群78%で有意にB群で高かった。(p=0.047) また三尖弁逆流圧格差A群24.4mmHg:B群34であった。根治術後平均1.5年の観察期間中に死亡はなかった。【まとめ】肺動脈絞扼術後の肺動脈圧は両群ともにコントロールされているが、根治術後の右室圧はB群で高い傾向にあった。肺小動脈病変が根治術後の血行動態に影響しうる可能性が示唆された。