第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション62(P62)
電気生理学・不整脈 5

2018年7月7日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)

[P62-04] 心室頻拍から診断に至った新生児・乳児QT延長症候群の2例

荒木 徹, 小寺 亜矢, 北田 邦美 (福山医療センター 小児科)

キーワード:QT延長症候群, 心室頻拍, 新生児乳児

【背景】QT延長症候群(LQTS)の臨床診断にはSchwartzの診断基準が汎用されているが、心室頻拍(VT)は診断基準には含まれていない。【症例1】日齢1、男。主訴は頻拍。父がBrugada症候群疑い。胎児期は異常指摘されず38週で出生。出生時はHR130であった。日齢1に頻拍が持続し当科に入院。入院時はHR211であったが、明らかな心不全徴候はなかった。ECGではwideQRSに房室解離を伴う頻拍で、VTと診断した。抗不整脈薬による頻拍停止を試みたが無効で、Cardioversion(CV)2Jで停止した。洞調律時のECGはHR110、QTc 0.467(Fridericia(F))/0.514(Bazett(B))、診断基準3.5点でLQTSと診断した。新生児期には持続性VTを繰り返し、3回のCVを必要としたが、最終的にプロプラノロール、メキシレチンで頻拍を抑制できた。1ヵ月で行った遺伝子検査は、LQTS1~3に該当しなかった。【症例2】1ヵ月、男。主訴はLQTS家族歴(母がLQT2、KCNH2変異、失神蘇生既往あり)。家族歴のため注意深く妊娠管理されていたが、異常を指摘されることなく40週で出生。新生児期に異常なしと診断された。1ヵ月で当院初診。無症状で特記すべき異常所見はなかった。ECGではHR117~150、QTc 0.446(F)/0.499(B)、診断基準4~4.5点であった。同日のホルターECGで、無症状ながら3分間持続するHR220のVTを認め、LQTSと診断した。プロプラノロールを開始し、無症状で経過した。2歳で行った遺伝子検査で、LQTS2と確診した。【考察】新生児・乳児期LQTSは、他年齢のLQTSと病態が異なるとされる。LQTS1~3に該当しない例が多く、非該当例の心イベントのリスクは高いと考えられている。また、初発症状は徐脈、房室ブロック、VT/torsade de pointesが多いとされ、今回の2症例もVTが端緒となりLQTSの診断に至った。同時期のVT例ではLQTSの可能性を考え、家族歴がある場合はECG、ホルターECGを繰り返し検査することが重要と思われた。