第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演2(I-OR02)
外科治療 1

2019年6月27日(木) 08:40 〜 09:30 第4会場 (中ホールA)

座長:平田 康隆(東京大学医学部附属病院 心臓外科)
座長:平松 祐司(筑波大学医学医療系 心臓血管外科)

[I-OR02-05] 大血管間走行を伴う冠動脈異常の6例

櫻井 一1, 野中 利通1, 櫻井 寛久1, 杉浦 純也1, 大沢 拓哉1, 和田 侑星1, 大橋 直樹2, 西川 浩2, 吉田 修一朗2, 加藤 温子2, 吉井 公浩2 (1.中京病院 心臓血管外科, 2.中京病院 小児循環器科)

キーワード:interarterial course, anomalous origin, coronary artery

【目的】大動脈と肺動脈の間を走行する冠動脈の異常は稀であるが,ときに突然死の原因になりうることも報告されている.当院では2014年からの5年間に大血管間走行を伴う冠動脈異常(CAIC)を6例経験し,5例に手術介入した.その臨床的特徴と外科治療法について検討した.【症例】走行異常の冠動脈は左(L-CAIC)が3例,右(R-CAIC)が3例だった.L-CAICの3例では他の合併心大血管疾患はなく,初発症状はバスケットボールの部活中の胸痛発作が2例,マラソン中の胸痛発作が1例と強い運動負荷時だった.初発年齢は7歳1例,13歳2例で,うち1例は失神発作を伴い,他の1例では一時的にPCPSを要した.確定診断はいずれも造影CT検査で,2例で大動脈壁内走行を,1例では心筋内走行を伴っていた.手術は2例でunroofingを,2例で開口部の肺動脈壁パッチ拡大を行った.R-CAICの3例のうち,1例は生後3ヵ月のVSD手術前の心エコーでRCA内の乱流を機に心カテーテル検査を施行して確定診断し,VSD閉鎖術時にunroofingを行った.もう1例は11ヵ月cAVSD例で,術前心カテーテル検査で冠動脈異常を指摘され,根治術時にunroofingを行った.他の1例は36歳で,Ebstein病とWPW症候群を伴っており,カテーテルアブレーション時にCT検査でR-CAICも指摘された.壁内走行は認めず,R-CAICに伴う症状はみられなかったためCone手術時にR-CAICへの手術介入は行わなかった.全例術後に冠動脈イベントはなく,経過は良好である.【考察と結語】大血管間走行を伴う冠動脈異常では,強い運動負荷をかけなければ無症状のことが多く,とくに手術介入の是非,時期に迷うこともある.しかし,L-CAICの場合は初発症状で致死的になりうるため積極的な治療介入が必要と考えられる.またR-CAICの場合も,良好な手術成績を考慮すれば,症状や,圧排所見,開口部の狭窄などの所見が否定できなければ積極的に治療介入すべきと考えられた.