第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

その他

一般口演16(I-OR16)
その他 1

Thu. Jun 27, 2019 2:50 PM - 3:40 PM 第7会場 (204)

座長:青墳 裕之(千葉県こども病院 循環器内科)
座長:小野 博(国立成育医療研究センター 循環器科)

[I-OR16-05] 単心室患者の食道裂孔ヘルニアは全例に根治手術が必要か~肺静脈の圧排所見も含めた手術適応についての検討

鈴木 彩代, 倉岡 彩子, 兒玉 祥彦, 石川 友一, 中村 真, 佐川 浩一, 石川 司朗 (福岡市立こども病院)

Keywords:食道裂孔ヘルニア, 単心室, 内臓錯位症候群

【背景】食道裂孔ヘルニアは内臓錯位症候群の児にしばしば合併し、心血管の圧排、胸腔内容量の減少、誤嚥性肺炎や無気肺により、単心室患者の呼吸・循環へ影響を与える。また、これらの児は腹部臓器の形態・位置異常を合併しやすく、食道裂孔ヘルニア修復術の手技や術後経過には注意を要する点が多い。【目的】食道裂孔ヘルニアを合併した内臓錯位症候群・単心室の児の経過をもとに、食道裂孔ヘルニア修復術の適応を検討する。【方法】2008年1月から2018年12月に当院で出生した内臓錯位症候群・単心室患者109人を対象とし、食道裂孔ヘルニア合併の有無と、それによる呼吸・循環への影響、修復術の有無を含めた臨床経過を検討した。【結果】13例(11.9%)が食道裂孔ヘルニアを合併。4例に心エコーやCTでヘルニア部による肺静脈圧排所見があり、うち1例に肺静脈閉塞あり。1例に消化器症状、1例に圧排性無気肺あり。13例中5例(38.5%、4例が肺静脈閉塞予防、1例が消化器症状改善目的)に食道裂孔ヘルニア修復術が行われ、そのうち3例が再手術(2例が十二指腸狭窄解除、1例が腹腔内膿瘍ドレナージ)、1例が死亡。死因は不明だが、術後十二指腸狭窄合併例であり、肺静脈閉塞はなし。13例中8例(61.5%)は修復術未施行で、うち4例がTCPC到達、1例がBDG待機中、2例が生後早期に死亡、1例がTCPC待機中にNECにより死亡。ヘルニア未修復・TCPC到達例で、後に肺静脈狭窄・閉塞を含む呼吸・循環状態の問題を生じた例はなし。【考察】食道裂孔ヘルニアによる肺静脈圧排は単心室患者の長期予後を左右するため、修復術による肺静脈閉塞予防は重要であるが、再手術の頻度は高い。一方で未修復でも問題なくTCPCへと到達している例も少なくない。修復術の適応は肺静脈圧排所見の有無を含めたヘルニア部と心血管の位置関係などを考慮し、症例毎に検討していく事が重要である。