[I-P04-04] MSSA感染性心内膜炎に伴う脳底動脈解離の初症例
キーワード:心内膜炎, 脳底動脈解離, 脳梗塞
【背景】感染性心内膜炎(IE)は、菌血症、心障害、脳梗塞、髄膜炎等の他、大動脈や肺動脈の解離の合併が報告されている。しかし、IEに伴い脳底動脈解離を発症した症例は、検索し得た限り報告はない。我々はIEに伴い脳底動脈解離を発症した初の症例を経験した。中枢神経(CNS)合併症はIE治療戦略に大きな影響を与え得るため、報告する。
【症例】先天性心疾患のない、14歳男子で、治療抵抗性のアトピー性皮膚炎以外、特記すべき既往歴はなかった。頭痛・発熱・意識障害のため、前医を受診し(第1病日)、髄膜炎の診断(髄液細胞数190/3、糖69mg/dL、最終的に培養陰性)で、抗菌薬治療を開始された。頭部MRI/MRAでは、脳底動脈に異常は認めなかった。しかし、第3病日に右片麻痺、意識障害の悪化、瞳孔左右不同を認め、頭部MRI/MRAを再検したところ、多発脳梗塞に加え、脳底動脈解離の新規発症を認めた。心エコーで僧帽弁に疣贅を認め、IEの診断で当院へ転院搬送となった。前医の血液培養でMSSAが陽性で、僧帽弁の疣贅は1.5cmで相当の可動性を有したため、梗塞の増悪リスクをより重視して5病日に緊急手術を施行した。術後、意識は回復して抜管でき、麻痺の改善を認め、歩行可能となった。25病日のMRAでは動脈解離の消退傾向を認めた。
【結論】多発脳梗塞と脳底動脈解離を認めたが、早期手術を行い、幸い良好な経過が得られた。脳底動脈解離は、ピンポイントの血管障害でも生じ得るとされる。ブドウ球菌は組織への侵襲が高く、本症例では菌体、あるいは塞栓子による血管壁への障害により脳底動脈解離が生じたと考えられるが、加療により同部位への介入なく所見が改善した。IEによる血管病変形成、およびその局在について、さらなる症例の蓄積が必要である。
【症例】先天性心疾患のない、14歳男子で、治療抵抗性のアトピー性皮膚炎以外、特記すべき既往歴はなかった。頭痛・発熱・意識障害のため、前医を受診し(第1病日)、髄膜炎の診断(髄液細胞数190/3、糖69mg/dL、最終的に培養陰性)で、抗菌薬治療を開始された。頭部MRI/MRAでは、脳底動脈に異常は認めなかった。しかし、第3病日に右片麻痺、意識障害の悪化、瞳孔左右不同を認め、頭部MRI/MRAを再検したところ、多発脳梗塞に加え、脳底動脈解離の新規発症を認めた。心エコーで僧帽弁に疣贅を認め、IEの診断で当院へ転院搬送となった。前医の血液培養でMSSAが陽性で、僧帽弁の疣贅は1.5cmで相当の可動性を有したため、梗塞の増悪リスクをより重視して5病日に緊急手術を施行した。術後、意識は回復して抜管でき、麻痺の改善を認め、歩行可能となった。25病日のMRAでは動脈解離の消退傾向を認めた。
【結論】多発脳梗塞と脳底動脈解離を認めたが、早期手術を行い、幸い良好な経過が得られた。脳底動脈解離は、ピンポイントの血管障害でも生じ得るとされる。ブドウ球菌は組織への侵襲が高く、本症例では菌体、あるいは塞栓子による血管壁への障害により脳底動脈解離が生じたと考えられるが、加療により同部位への介入なく所見が改善した。IEによる血管病変形成、およびその局在について、さらなる症例の蓄積が必要である。