第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション6(I-P06)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:石井 卓(東京医科歯科大学 小児科)

[I-P06-03] Fontan型手術遠隔期の肝硬度の経時的変化

前田 潤, 山本 一希, 荒木 耕生, 古道 一樹, 山岸 敬幸 (慶應義塾大学医学部 小児科)

キーワード:肝硬度, Fontan, 遠隔期

【背景】Fontan型手術後遠隔期に、肝線維化、肝硬変などの肝臓病変(FALD)の合併が報告されている。FALDを早期から非侵襲的に検出するために、超音波パルスを用いた肝硬度測定が用いられているが、FALDの進行を経時的に反映するかについては明らかでない。【方法】Fontan型手術後、無症状で経過している13例(男8例、女5例、年齢10歳~42歳、中央値22歳)において、肝実質内のせん断弾性波伝播速度 (Vs)による肝硬度、腹部超音波検査(US)所見、血清肝線維化マーカー(FM)を含む血液検査所見について、経時的に比較検討した。【結果】検査開始時の術後経過年数は5~32年(中央値19年)で、APCが1例、TCPC conversionが2例含まれていた。中心静脈圧は7~13mmHg(中央値8mmHg)、心係数は1.7~3.2l/min・m 2(中央値2.2l/min・m2)であった。2.6年~5.6年間(中央値3.9年)の経過で、Vsは1.8±0.44 m/sから1.8±0.34 m/s (p=0.76)、FMについては、ヒアルロン酸は30.0±17.0から35.0±20.7ng/ml (p=0.57)、IV型コラーゲン7Sは7.2±1.3から7.4±1.1ng/ml (p=0.76)、血小板数は18.8±5.4万/μlから17.6±4.3万/μl (p=0.52)、γ-GTPは69.9±44.7IU/lから86.0±67.8IU/l (p=0.48)に推移し、いずれも有意な悪化を認めなかった。13例中4例で観察期間中にUS上肝実質内の高輝度スポットが新たに出現した。多発した1例についてダイナミックCT、EOB・プリモビストMRIが行われ、限局性結節性過形成を認めた。【まとめ】Fontan型手術後遠隔期のVs、FMは、約4年間の経過で明らかな悪化なく、US上の高輝度スポットの出現を反映しなかった。VsやFMは局所的な肝実質病変を十分に検出できず、FALDの早期診断には腹部エコーも含めた他の画像検査が必要と考えられた。