第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション13(I-P13)
染色体異常・遺伝子異常 2

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:上砂 光裕(日本医科大学多摩永山病院 小児科)

[I-P13-03] てんかんを合併し遺伝子変異が同定されたQT延長症候群の親子例

平海 良美1, 原 茂登1, 横山 淳史2, 吉田 晃1 (1.日本赤十字社和歌山医療センター 小児科, 2.京都大学医学部附属病院 発達小児科学)

キーワード:QT延長症候群, てんかん, 遺伝子変異

不整脈疾患にてんかんが合併している症例があることが分かってきたが、明らかな脳波異常を呈する例は稀である。今回、遺伝子診断でLQT2と診断され初発の失神がてんかん発作であった親子例を経験した。【症例】1.32歳女性。9歳時に痙攣発作を起こし、脳波検査でdiffuse spikeがみられ抗痙攣薬の投与が開始された。10歳時にQTの延長に気づかれた。その後、脳波所見が正常化したため抗痙攣薬は中止となった。20歳、早朝に失神発作があり、ホルター心電図で著明なQTの延長と多発するPVCがみられた。失神の原因が不整脈である可能性がありβ遮断薬とメキシチールが開始となった。23歳で、第1子男児を出産したがその後、早朝に5分間の痙攣と失神を認めた。遺伝子検査が施行されLQT2:KCNH2 P114S(C340T),LQT3:SCN5A K1859E(5575A>G) と診断された。24歳で第2子女児出産(2歳時の遺伝子検査で変異なし)。出産1年後失神。以降、1から2年に1回の失神あり。2.10歳男性。症例1.の第一子。出生後QTの延長がみられたためβ遮断薬が投薬された。1歳時に母と同じ遺伝子変異(LQT2のみ)が同定された。10歳時鬼ごっこで遊んでいるときに失神した。その後1から2カ月の間に失神を繰り返したため、ホルター心電図を施行したが不整脈は認めなかった。脳波検査で前頭部優位のdiffuse spike&wave burstを指摘、てんかん発作と診断され抗痙攣薬が開始された。その後、失神は認めていない。【考察・結論】今回、LQTに明らかな脳波異常と遺伝子変異を合併した親子例を経験した。LQT2(KCNH2mutation)は他のタイプよりてんかんの合併が有意に多いが、てんかんを合併する遺伝子変異の特徴などは不明である。今回の遺伝子変異部位はNterminal(PAS)で親子で同じ遺伝子変異を呈しており、てんかん発作がKCNH2 P114Sの一表現型の可能性がある。