第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

胎児心臓病学

ポスターセッション14(I-P14)
胎児心臓病学 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:桃井 伸緒(福島県立医科大学 小児科学講座)

[I-P14-03] 小児循環器医による単回・5分の胎児心エコー検査:精度の検討

岡崎 三枝子1,2, 山田 俊介2, 豊野 学朋2 (1.秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター, 2.秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系 小児科学講座)

キーワード:胎児心エコースクリーニング検査, 胎児心エコー精査, 出生前診断

【背景・目的】深刻な医師不足と、医師の都市部への集中や専門性の偏在の解消を目的に、秋田県からの寄付講座として本学に循環型医療教育システム学講座が開設された。本講座は大学と地域基幹病院間の医療連携、診療支援を行い、地域基幹病院の医師不足の解消を目的としている。本目的のために派遣された県内自治体病院にて一般小児科診療応援に合わせて、平成25年5月より胎児心エコー検査を行い、その精度を検討した。【方法】派遣先は秋田県南部に位置する病床数229床の自治体病院。常勤医小児科1名、産婦人科2名、年間分娩数約150-180症例。妊娠20週以降に小児循環器医による単回の胎児心エコー検査を施行。生理検査室の心臓超音波機器を使用し、検査時間は1回5分程度。検査週数:妊娠20週~40週。月に3回の診療応援日に合わせて、一日あたり平均6症例施行した。【対象】平成25年5月より平成30年11月までの計5年6か月間に検査を施行し、同院にて一ヶ月健診を終えた計1000症例。後方視的に同院における1.胎児心疾患診断数、2.新生児心疾患治療施設への母体紹介数、3.胎児期未診断の先天性心疾患出生数、4.心疾患による新生児搬送症例数、5.心外奇形等診断数について検討を行った。【結果】1.心室中隔欠損症14例(うち1例は大欠損)、動脈管早期閉鎖傾向1例、大動脈縮窄症(Simple CoA)1例、2.母体紹介1例、3.複雑心奇形出生0例、心室中隔欠損症(小欠損)1例、4.新生児搬送0例、5.両側高度胸水・肺低形成1例。【考察】良好な検査精度であったが、生後一ヶ月健診までに指摘されなかった心疾患が隠れている可能性があること、また複雑心奇形症例が少ないために胎児心精査としての検査精度は不明であった。【結語】単回・5分の小児循環器医による胎児心エコー検査1000症例は、おおむね良好な精度であり、臨床上有用と考えられた。