第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

成人先天性心疾患

ポスターセッション21(I-P21)
成人先天性心疾患 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)

[I-P21-02] Fallot四徴症修復手術後の成人の大動脈基部拡大と弾性低下 に関する前向きコホート研究(TRANSIT)

永峯 宏樹1, 三浦 大1, 石津 智子2, 小野 博3, 立野 滋4, 前田 潤5, 山岸 敬幸5, 丹羽 公一郎6 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.筑波大学 臨床検査医学, 3.国立成育医療研究センター 循環器科, 4.千葉県循環器病センター 小児科, 5.慶應義塾大学 小児科, 6.聖路加国際病院心血管センター 循環器内科)

キーワード: Fallot 四徴, 大動脈基部拡大, aortopathy

[ 背景・目的] Fallot 四徴( TOF )修復手術後の成人では,約 15% に大動脈壁の弾性低下による大動脈基部拡大( AD )が合併するといわれている。 AD は,左室機能低下,大動脈弁閉鎖不全,さらに大動脈解離もともなう aortopathy であるが,日本での実態や有効な薬剤は明らかでない。そこで,日本人を対象にTOF (肺動脈閉鎖PA/VSDを含む)の診断で修復手術を行った 20 歳以上の成人を対象とした多施設共同前向きコホート研究(TRANSIT )を計画した.今回、開始時調査の101症例ついて報告する。 [ 方法 ] 初回検査時の心臓超音波検査の画像(CDで収集)を中央解析で評価し、バルサルバ洞径 (Val)を評価した。更にADを過去の報告同様にVal 40mm以上と定義し、大動脈基部拡大あり群(AD群)と拡大なし群(NL群)とのリスク因子の検討を行った。 [ 結果 ] 対象は101症例で、年齢20歳 6か月から54歳0か月(平均35歳5か月)、男性56例(56%)、体表面積 1.66±0.22(m2)、染色体異常17例、右大動脈弓8例、PA/VSD 9例。 Val計測値 (% of Normal) は 35.0 ± 5.8mm(113.2 ± 15.0% of N) 。AD群は19例(19%)であった。ADリスク因子として考えられた、男性、大動脈肺動脈シャント既往、PA/VSD、右大動脈弓、染色体異常について検討したが、AD群とNL群では意差はみられなかった。また大動脈弁形成術や置換術の施行例はなかった。一方、AD群において拡張期左室壁厚が厚く、脈波伝播速度が速いという傾向がみられた。 [ 考察 ] 日本人のTOF 術後成人例において18.8%にADが見られ、海外の報告と同様であったが、開始時調査の結果からは有意なリスク因子は指摘できなかった。本研究では3年後に心臓超音波検査を行うことにより、大動脈基部径の拡大率とリスク因子を明らかにする予定である。