[I-P29-04] 乳幼児期に弁形成術を施行した僧帽弁閉鎖不全症の5例
Keywords:乳幼児, 僧帽弁閉鎖不全症, 僧帽弁形成術
【背景】乳幼児の僧帽弁閉鎖不全症(MR)は稀であり病態も複雑で、弁輪の成長にも配慮する必要があることから、弁形成術が困難であることが多い。我々は乳幼児に発症したMRに対し弁形成術を施行した5例を経験したので報告する。【症例1】8ヶ月女児:不全型川崎病軽快後に発症した特発性僧帽弁腱索断裂。A1からA2にかけて腱索断裂を認め、人工腱索再建と交連部形成術を施行。【症例2】3歳男児:ASDを合併。A2からA3にかけてprolapseを認め、人工腱索再建と交連部形成術を施行。【症例3】5歳男児:先行する上気道炎から亜急性の経過で発症した特発性僧帽弁腱索断裂。P3に腱索断裂を認め、folding plastyと交連部形成を施行。【症例4】1歳女児:VSDを合併。肥大した乳頭筋に短い腱索を伴ったArcade mitral valve。Papillotomy、Secondary chordae切除、弁輪形成、edge to edge repair等を組み合わせ、double orificeに形成。【症例5】8ヶ月男児:先行する上気道炎から亜急性の経過で発症した後尖弁瘤穿孔。P2に8mm大の穿孔を認め、直接閉鎖を施行。【結果】いずれの症例おいても感染性心内膜炎を疑う所見は認めなかった。術後7-44ヶ月のfollow upで、死亡例・再手術例はなく全例でNYHA I 度へ改善を認めた。遺残MRは症例4のmoderate以外はmild以下で経過中である。【結論】乳幼児のMRに対する弁形成術を施行した5例を経験し比較的良好な結果を得たが、今後慎重な経過観察が必要である。文献的考察を含めて報告する。