第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション2(I-PD02)
この症例をどうするか?:カテーテル治療

2019年6月27日(木) 10:20 〜 11:50 第1会場 (特別会議場)

座長:小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
座長:上田 秀明(神奈川県立小児医療センター 循環器内科)

[I-PD02-03] Krichenko C型の動脈管開存症に対するデバイス塞栓術後に生じた左肺動脈狭窄

武井 黄太1, 安河内 聰1,2, 瀧聞 浄宏1, 齊川 祐子2 (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 エコーセンター)

キーワード:動脈管開存症, カテーテル治療, 合併症

【背景】動脈管開存症(PDA)に対してAmplatzer Duct Occluder (ADO)を用いたデバイス塞栓術が行われるが、Krichenko C、D、E型のPDAに対しては不適な場合が多く、その際にAmplatzer Vascular Plug (AVP)を用いた塞栓術が行われることがある。また年少児においてはデバイス塞栓術において肺動脈狭窄や大動脈狭窄を来たすリスクが高い。
【症例】症例は10ヶ月女児。1ヶ月健診時に心雑音を指摘されPDAと診断、その後もPDAは閉鎖傾向がなく、肺高血圧が出現してきたためデバイス塞栓術の方針とした。PDAの形態は肺動脈側5.6mm、最小径4.8mm、大動脈側13.9mm、長さ15.7mmのKrichenko C型であったためADOによる塞栓は不適と判断し、AVP II-10を使用して塞栓術を行った。治療前より左肺動脈(LPA)分岐部で7mmHgの圧較差を認めていた。最初の留置手技では閉塞栓がLPAを閉塞していたため回収、2回目の留置手技では大動脈側へ寄せて留置し一旦detouchしたが、LPA分岐部で20mmHgの圧較差を認めたためスネアワイヤを使用して回収、3回目の手技では遠位のディスクを大動脈側に引っ掛けて真ん中のディスクを動脈管内で押し付けるようにして留置した。20mmHgの圧較差を認めたが、造影上形態的に狭窄は軽度と判断して手技を終了した。留置翌日の心エコーでLPA入口部2.3mmと明らかな狭窄を認めたが、その段階で閉塞栓の回収は行わず遠隔期にカテーテル治療を行う方針とした。術後心不全症状は改善したが、肺血流シンチにて右:左=69:31であったため、術後3ヶ月時にLPAに対してSterling 5mm×2cmを使用してバルーン肺動脈形成術を施行したが無効であった。現在術後2年が経過したが、心エコーの計測でLPA入口部2.2mm、肺血流シンチでは右:左=67:33と改善なく経過している。
【まとめ】Krichenko C型のPDAに対してAVP IIを使用して塞栓術を行い、LPA狭窄を合併した症例を経験した。